「家族とは」を改めて問い、新たな家族像を示す?

 母から娘へとバトンをつなぐ三世代100年の家族の物語といえど、すでに母(安子)と娘(るい)は決別した展開を見せている「カムカム」。「自分・母親・祖母」みたいに感情移入しやすいストーリーではありません。親から子に、経験すべてが伝わっているわけでもなく、愛情深い家族像を見せているわけではありません。きっと古典的な家族観を改めて賛美するようなつくりはしてこないでしょう。それだけでなく、血縁関係のみに縛られない新たな家族像すら示してくれそうな気がしています(現在、るいが竹村クリーニング店の夫婦と同居することで、血縁関係なく家族のようにちゃぶ台を囲む姿にも、その意思が感じられます)。

 たとえば家族の形としては、再婚で家族の再編成が行われてステップファミリーが形成されるということもありますし、養子縁組という形もある。血のつながりはなくとも家族は家族です。そういうさまざまな家族たちの形が描かれていくかもしれません。

 それに安子とロバートの間に子どもが生まれていたとしたら、自分のルーツを探しに来日するという展開もあるかもしれない。家族の人種背景という複雑さまでテーマとする可能性は大いにあります(自身も日本人の父親とスペイン人の母親とのミックスというルーツを持つ城田優がこのファミリーストーリーの語り部なのはフラグか……? まさか安子の息子か孫としての出演もあるのか? という期待もありつつ)。

 家族を考えようとする時、私達は祖父母、父母、子どもという直系血族の枠組みに留まって考えがちですが、もっと広く、家族を取り巻く環境についても考えていくべきかもしれません。これはもう、「おしん」のように壮大な大河朝ドラをやろうとしているとしか思えない! だからこそ駆け足な展開ではなく、「おしん」同様に1年間かけてじっくり描いてほしいです!

綿貫大介

編集者。テレビっ子。著書に『ボクたちのドラマシリーズ』がある。
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2022.01.17(月)
文=綿貫大介