製品を負担なく自然に還すために
最後のセクション「Post Waste」のテーマは、新しい循環をつくるためのリサイクルを前提としたデザインの提案。
ココナッツや海藻、とうもろこしの皮などを使った製品、多肉植物アガベの葉から採取した繊維で作ったテーブルなど、天然の物質を使って、その「製品の終わり」が負担なく自然に還る方法を模索しています。
このセクションには、日本で初めてゼロ・ウェイスト宣言をした徳島県上勝町の紹介もありました。
おもしろいのは展示されている対象だけではなく、その展示方法もです。
展示用の什器は、紙や木など生分解性の(微生物が分解できる、自然に負担なく土に還ることができる)素材を使用しています。
このエキシビションの終わりに、今回の企画のアドバイザリー・パネルの面々へのインタビュー動画が流れているのですが、そのなかで「『Waste』とはなにか」という質問に対して、サステイナブル・ファッションの専門家が「Waste is a design failure.(Wasteとは、デザインの失敗である)」と答えていたのが印象的でした。
「その製品が使われている間」のみならず、「その製品の終わり方」にまで、デザインが責任を担う時代、ということでしょうか。
環境問題に詳しくない人でも、学びながら最新のデザインの考え方を体感できる、まさに現代という時代を反映したエキシビションです。
Waste Age: What Can Design Do?
会場 Design Museum
所在地 224 - 238 Kensington High Street, London W8 6AG
https://designmuseum.org/
安田和代(KRess Europe)
日本で編集プロダクション勤務の後、1995年からロンドン在住のライター編集者。日本の雑誌やウェブサイトを中心に、編集・執筆・翻訳・コーディネートに携わる。
●ロンドンでの小さなネタをつづったインスタグラム @gezkaz
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●運営する編集プロダクションのウェブサイト http://www.kress-europe.com/
Column
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文・撮影=安田和代(KRess Europe)