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今年の秋、英国グラズゴーで開催された、気候変動対策をテーマとした国連の会議COP26。
英国の路上で繰り広げられた抗議運動などは、日本でもニュースで取り上げられていたので、記憶に新しいかもしれません。
この会議に合わせてロンドンのデザイン・ミュージアムでは、デザインという切り口で廃棄物問題に対する解決策を探るエキシビション「Waste Age: What Can Design Do?」をスタート、2022年2月20日(日)まで開催中です。
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エキシビションは、廃棄物にまつわる現状、リサイクルによる解決策、そして新たな循環への提議という、3つのセクションに分かれていて、解説とともにデザイン・ミュージアムならではのエッジのきいた展示物が並べられています。
会場入り口には、イラストでわかる「工業部門ごとに放出されたプラスチック廃棄物の量(2015年)」が、壁三面にドーンと掲示されています。とにかくパッケージに費やされるプラスチックの多さ(1億4,100万トン)には、瞠目するばかりです。
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最初のセクション「Peak Waste」の入り口に一番近い位置に置かれたモニターには、なぜか若き日のダスティン・ホフマン主演の名作「卒業」(1967年)からのクリップが。
大学を卒業して、将来に迷いながらも実家に戻ってきたダスティン・ホフマン演じるベンジャミン。このモニターで流れているのは、彼の実家で開かれた卒業パーティーのワンシーンです。
おせっかいなマックグワイア氏が悩めるベンジャミンに進路についてこう助言します。
「一言いいかい? プラスチックだよ。この業界には大きな未来が待っている」
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このセクションでは、プラスチックの歴史や、年間3億5,900万トンの生産量のなか、その4割もが一度だけ使われて廃棄されているなどの現状を、写真や製品で丁寧に解説しています。
なかには、マサチューセッツ工科大学のリサーチチームが「ゴミの行き先」を探った映像作品も。e-waste(電気電子機器廃棄物)にGPSを付けて追跡したところ、平均で4,158マイル(約6,700キロ)もの遠隔地に廃棄されていること、またその多くが米国を離れ不法にアジアに廃棄(または売却)されている実態が明らかになったことが、そのGPS追跡画面でひもとかれていきます。
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文・撮影=安田和代(KRess Europe)