「本ってどうやって出すんですか!?」メンバーの反応は

――表紙や中面のお写真からも、小林さんの今の雰囲気が伝わります。こだわりましたか?

 長山(一樹)さんというカメラマンさんに撮っていただきました。写真になると、つい癖で作り込んでしまう自分もいるんですけど、今、興味があるのは、日常生活が表現に結びつく瞬間なんですね。

 極端に言えば、ステージに立つために準備して、スイッチを入れて「よし、今からだ!」と変わるのではなく、朝起きて、顔を洗ってごはんを食べて「いってきまーす」の流れでそのままステージで踊る、というような。そういう感じを、そのまま表現できたら面白いかなと思ったんです。(そんなイメージを)切り取ってくださるようなカメラマンさんにメインビジュアルを撮ってもらいたく、お願いしました。

――横顔の表紙というアイデアは小林さんからですか? 長山さんからですか?

 最初、表紙に横顔のアイデアはありませんでした。「直己さんの横顔を撮りたいんです」と言われて、あがってきたらこれ(表紙の写真)が一番よくて。どこかちょっと青っぽい感じがありますし、「ああ、なんか今の自分の感覚と色のトーンが合ってるな」と思ったので、表紙にしました。

――EXILE、三代目JSBのメンバーさんには、すでに著書をお渡ししたんですよね?

 はい。EXILE、三代目のメンバー全員と、番組でたまたま一緒になったGENERATIONSにも渡しました。みんなも「おめでとう!」とすごく言ってくれて、(山下)健二郎は「すごいっすね!」とか、がんちゃん(岩田剛典)もインスタグラムのストーリーであげてくれたりして。

 (関口)メンディーからは、「本ってどうやって出すんですか!?」と聞かれました(笑)。メンディーって、ノートを常に持ち歩いていて、気になったことをずっとメモっているんですよ。なので、メンディーが本を出すなら読んでみたいなと思いますね。

――著書内では、メンバーとのエピソードが多数ありますよね。EXILE AKIRAさんとのお話も非常に印象的でした。

 AKIRAさんは出会い方も含めて、エピソードが多いんです。自分はAKIRAさんから受けた影響が、本当に大きくて。尊敬していますし、憧れてもいますし、海外に一緒に行っていた時期もあったので、同志のような部分もあると思っています。

 今はAKIRAさんが、EXILE TRIBEやLDHを引っ張るような立場でもあるので、グループのメンバーとして支えつつ、自分も自分のビジョンを果たすことで、それが恩返しにつながるといいなと思っています。

――いろいろとお話しいただきありがとうございました。間もなく迎える年の瀬、怒濤のスケジュールが続くと思いますが、年末年始の思い出で一番印象的だったことは何でしたか?

 ああ~! いっぱいあります! ……けど、いっつも忘れちゃうんだよな……。

――あまりに濃い日々が続くから、ですよね。

 本当にそうなんですよ。毎年、11月中旬くらいに「ベストヒット歌謡祭」に出演して、そこから「ああ、年末が始まった!」という感じになっていきます。今年もEXILEで出させてもらったり、三代目で出させてもらったり。その間にライブもやって、来年1月分のこともやって、次のツアーリハとかもやって……。

――それはもう、何も覚えていられませんね(笑)。

 はい(笑)。思い出で言うと、ある年の年末、紅白に出場したときのことを特に覚えています。紅白でのパフォーマンスが終わって、次はすぐ「カウントダウンTV」に出演することになっていたので、もう大急ぎで衣装のまま出て、車の中で着替えたことがありました。年末は本当にそういうイメージです。師走というか、“師ダッシュ”です(笑)。

――“師ダッシュ”の中での楽しみは、何でしょうか?

 毎年そういうスケジュールなので、数年前、仕事を調整してもらって1~2日お休みを取ったことがありました。何だか気も急いてしまうから、忙しい時期にあえて時間を取ることで、1回心を落ち着けてみたくて。それがすごくよかったです。

 忙しいときほどそういう時間が大事だなと感じたのが、今回の本を書くきっかけかもしれないですね。……うまく本に着地しました(笑)。

小林直己(こばやし・なおき)

1984年11月10日生まれ。千葉県出身。EXILE、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEパフォーマー。2019年、Netflixオリジナル映画 『EARTHQUAKE BIRD』にて俳優としてハリウッドデビュー。2017年から2018年にかけてYOHJI YAMAMOTOのコレクションのランウェイモデルを務めるなど、幅広く活動中。

選択と奇跡 あの日、僕の名字はEXILEになった


著者 小林直己
発売日 2021年11月24日
定価 1,980円(税込)
文藝春秋
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2021.12.11(土)
文=赤山恭子
撮影=杉山拓也