日本の食文化を支えるすべてが福井にある!

 雄大な白山連峰の大自然と、豊穣な日本海に囲まれ、全47都道府県幸福度ランキングでは1位に輝いた福井県。

 2024年春には、北陸新幹線が福井・敦賀まで延伸され、これからまさに旬を迎える注目の旅先です。

 その魅力といえば、なんといっても「食」。

 実は、コシヒカリの発祥は福井県。

 世界に誇る和食の原点・精進料理も、道元禅師が開いた永平寺が「典座教訓」の教えとともに礎を築いたもの。

 福井には、日本の食文化の上質な部分が凝縮しているのです。

「福井沖の海は、日本海特有の複雑な潮の流れと、海岸線の独特の地形が相まって、とても豊か。地魚のおいしさは抜群です」

 そう語るのは、人気の日本料理店「旬味 泰平」のご主人・杉田泰英さん。

 なにわ割烹の名店「㐂川」で腕を磨き、この地にお店を開いて30年弱。

 趣ある建築に白い暖簾をかがげ、旨いもの好きなら入らずにいられない風情を醸し出す名店です。

 こちらでぜひ味わいたいのが、季節の魚が満載の「刺身盛り合わせ」。

 丁寧な仕事が施された端正なたたずまいで、一切れ一切れに詰まった上品な旨みが極上です。

 また、毎日手書きされるメニューも圧巻。

 地魚、地野菜、自家製珍味など、およそ100品がずらりと並び、まさに福井の “旬味” のすべてがここにあるのです。

 『ミシュランガイド北陸 2021特別版』で県内最高となる2ツ星に輝く「御料理 一燈」も、福井の上質なおいしさを知るには、はずせない一軒。

 厨房を率いる倉橋紀宏さんは、地元食材へのこだわりを貫く気鋭の料理人。

 この日に用意された「若狭ぐじのちり蒸し」は、船上活締めされた希少なぐじ(甘鯛)を贅沢に使い、繊細な甘みと香りを引き出す技も鮮やかな一品。

 福井が誇る伝統工芸・越前塗の器で供され、凛とした気品が漂います。

 焼き物は、地物のサワラ。脂ののった上物を一本まるごと仕入れ、熟成が進んだところでじっくりと藁焼きに。

 使う稲藁も無農薬にこだわり、半生に火入れした身からあふれる旨みがたまりません。

 そして、食事のお米も越前町の完全無農薬栽培コシヒカリ。土鍋で炊き上げたあつあつをじっくり噛みしめれば、まさに「幸せ♡」。

 福井の宝といえる食材を、卓越した技で味わう……。その至福を存分に堪能できます。

 さらに福井には、素晴らしい地元食材を使った話題のフランス料理店もあります。

 2019年に開店した「ラジット」の藤井隆明さんは、福井フレンチを牽引し続ける名店「ジャルダン」のご出身。

 旨みたっぷりのコースで美食家たちの心をつかんで離さない、注目のシェフです。

 メインのスペシャリテは、福井が誇るブランド食材「若狭牛」。

 濃厚な風味がたまらない「ロッシーニ風」に仕上げ、口いっぱいに広がる赤身の旨みに感激……。

 野菜も福井県東部の大野産が中心で、魚介も地物を使用するなど、食材の “福井比率” が高く、その豊かな味わいに大満足すること、間違いなしです。

旬味 泰平 [福井市]

所在地 福井市中央3-14-11
電話番号 0776-25-4686
営業時間 11:30~14:00、18:00~22:00
定休日 日曜(祝日はランチのみ営業)
アクセス 福井駅から徒歩約10分

御料理 一燈 [福井市]

所在地 福井市春山2-1-7
電話番号 0776-22-1323
営業時間 12:00~14:30、17:30~22:30
料金 ランチ5,000円~、ディナー12,000円~ ※ともに要予約
定休日 日曜、第1・3月曜、不定休あり
アクセス 福井駅から車で約5分

ラジット [福井市]

所在地 福井市高木中央1-2101 プチドラゴン1F
電話番号 0776-50-6323
営業時間 11:00~13:30(L.O.)、18:00~21:00(L.O.)
定休日 月曜、不定休あり
アクセス 福井駅から車で約15分
https://lajitto.jp/

2021.10.15(金)
写真=平松唯加子、上田順子
取材・文=矢野詔次郎