●苦手な虫との戦いだった新作映画

――21年には、主演映画である『遊星王子2021』も公開されました

 おバカ映画の巨匠である河崎実監督のコメディで、主演の僕はずっと全身タイツ姿です(笑)。カメリハなしでワンカット撮影をしたり、7時間で26シーンも撮ったり、いろんなありえないことをしました。粗削りな部分も、監督の味になっていますし、とても興味深い作品になったと思います。

――そして、9月公開の北村 諒さんとのW主演作『ゴーストダイアリーズ』では、特ダネ探しのために、人里離れた森にやってくるフリーライターの雅役を演じられています。

 雅は物語のきっかけを作るような役柄なのですが、最初に台本を読んだときに、冒険心をくすぐられた気持ちになって、とてもワクワクしました。タイトルだけだとホラー映画のように見えますが、人情味溢れる作品ですし、感情の裏側を出せるお芝居の面白さもあって、演じていて楽しかったです。

――初共演となる北村さんとの撮影エピソードは?

 最初は「初めまして」と、ちょっとぎこちなかったのですが、同い年だと分かった瞬間から打ち解けました(笑)。泊りでのロケだったので、いろんな話もしましたが、お互いに虫が苦手なんです。本番中は集中しているので、何とか対処できるのですが、リハ中や休憩中では絶叫していました。大の大人が!!

●エンタメショーをプロデュースしたい

――本作では、どんな新しい日向野さんが観られると思いますか?

 雅というキャラは裏表がなく、まっすぐな性格の人間なんです。それでいて、普通の人なら遠慮してやらないこともやってしまう。僕はどちらかというと、北村諒演じる慎一のように、物事をどこか冷静に見てしまうタイプの人間なので、自分にないものを見せてくれたキャラクターでした。それに、珍しいメガネ姿も見られると思います(笑)。

――今後の目標や将来の展望について教えてください。

 今年の5月に、僕が企画・演出などで参加していたエンタメSTAGE「SHOW CASE」という作品を上演する予定だったんですが、コロナによって延期になってしまったんです。1部は殺陣がメインのお芝居で、2部はダンスショーという念願の企画だったので、来年にはこれを成功させたいです。

 そして、これをきっかけに、堂本光一さんの「SHOCK」や滝沢秀明さんの「滝沢歌舞伎」のように、いろいろ盛り込んだエンタメショーをプロデュースしたいです。その前に、10月には「令和千本桜~義経と弁慶」で、コロッケさんとともに明治座の舞台に立つので、こちらも楽しみです。

――今年30歳になったことで、心境の変化はありますか?

 30歳になったこともあり、自分がこれまで種をまいてきたことが、ようやく芽が出始めたのかな、と思っているんです。なので、腰を据えて、お芝居とより向き合うことで、二十代のときとは違う十年間を過ごしていきたい。

 そして、40歳になったときに、「いい三十代を過ごせた」と言えるようになりたい。そして、いつの日か日本アカデミー賞のレッドカーペットを歩けることを目標に、頑張っていきたいです。

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日向野 祥(ひがの・しょう)

1991年1月19日生まれ。神奈川県出身。2009年、エンターテイメント集団「HIROZ」一期メンバーとして活動。18年より、2.5次元作品、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」をはじめとする作品に出演。21年は8月に初主演映画『遊星王子2021』が公開。10月には明治座公演「令和千本桜~義経と弁慶/コロッケものまねオンステージ2021」に出演。

映画『ゴーストダイアリーズ』

まっすぐで純粋な性格のフリーライター・雅(日向野 祥)は、霊と交信できる不思議な力をもった友人・慎一(北村 諒)と特ダネを探して、ある民宿を訪れる。そこではカズキという青年の姿をした幽霊が現れるが、彼は宿の管理人・田崎(倉田てつを)の甥っ子で、生前に田崎とケンカしたままだったことが心残りで、成仏できずにいた。
http://ghost-diarys.united-ent.com/
池袋HUMAXシネマズ、センチュリーシネマ、シアターセブンほか順次公開中

Column

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2021.09.24(金)
文=くれい 響
撮影=深野未季
スタイリスト=森内陽子
ヘアメイク=芝原睦美