ペットの防災「か・き・く・け・こ」

 德田先生に、もしもの時の備えとして、大切なものをまとめた5項目を教えていただきました。ペットの防災「か・き・く・け・こ」と覚えれば安心です。

◆「か」……飼い主のマナー・責任

 非常用持ち出し袋の準備なども大切ですが、普段から飼い主としてマナーを守り、愛犬・愛猫のしつけがきちんとできていることも重要な防災対策です。避難所には、動物が苦手な人もいるかもしれません。吠えたり騒いだりしないようにしつけておく、においや抜け毛で迷惑をかけないようにケアを行う、などを日頃から心がけましょう。

 また、災害時にはペットが驚いて家の外に飛び出したり、避難の途中ではぐれてしまうことも。首輪や迷子札、犬なら鑑札が必須アイテムですが、外れてしまうことも想定して、マイクロチップを装着する二重の対策がおすすめです。

◆「き」……キャリーバッグ(クレート)

 ハードタイプ、布製、リュックタイプなど素材や形状はさまざまですが、避難の際に安全にペットを運ぶために非常に有用です。キャリーバッグは犬や猫にとって安心して過ごせるプライベートルームとして活用できます。大型犬でも用意しておきましょう。

 動物は狭くて暗い場所のほうが落ち着くもの。普段からキャリーバッグに慣らしておくことも必要です。

◆「く」……薬・ごはん(備蓄品)

 何より大切なのが、薬や療法食など、その子に特別に必要なもの。動物病院が被災すれば、長期間に渡ってこれらが手に入りにくくなるので、ある程度余裕をみて持っておけるようにしましょう。ローリングストック法がおすすめです。それから、最低3日分、できれば1週間分のフードと水を用意しておくと安心ですね。

 また、ペットの写真や健康状態を記した手帳などがあると、はぐれてしまった時や他の人に世話してもらう時に安心です。写真は、さまざまな角度から撮っておくといいでしょう。痩せて顔つきが変わると、飼い主さんでも分からなくなることがあります。また、飼い主さんとの2ショットも飼い主特定の決め手になります。

 他にも、ペットのにおいがついた毛布やバスタオル、トイレ用品、遊びなれたおもちゃ、ブラシなどもあるとよいですが、優先順位をつけて効率よく持ち出すことが大切です。

◆「け」……健康管理

 災害時、普段とは違う環境の中で、ペットは恐怖やストレスにさらされ、食欲不振や下痢など体調を崩しがちに。そんな時、飼い主さんが日頃の健康状態を正確に知っていることが、ペットの命を左右することもあります。小さな病気のサインも見逃さないように、コミュニケーションもかねて、毎日体のすみずみまで触ってチェックすることが大切です。

 誰かに預かってもらう可能性も考えて、必要なワクチン接種、ノミ・ダニ・シラミ予防や駆除、避妊・去勢手術、犬の場合はフィラリア予防など、平時にできることをしっかりしておきましょう。不特定多数の動物が集まる避難所では、感染症やノミ・ダニなどが発生しやすいもの。予防が大切なペットを守ってくれます。

◆「こ」……行動・しつけ

 非常時に役立つペットのしつけとは、特に日頃からいろいろな環境に慣れさせておくこと。たくさんの人や動物が集まる避難所で、少しでもストレスを軽減し、落ち着いて過ごさせてあげるために、苦手なものを少なくしておきましょう。

 具体的には、ケージやクレート(キャリーバッグ)などに慣らす「クレートトレーニング」や、家族以外の人や動物、音などに慣らす「社会化」などがあります。また、体のどこを触っても嫌がらないように日頃からスキンシップやブラッシングをしたり、猫はハーネスやリードに慣らしておくことも大切です。

2021.09.11(土)
文=CREA編集部