井波彫刻と五箇山和紙の「匠」を訪ねて

瑞泉寺の門前町にある工房からは、一日中鑿の音が聞こえてくる。ふらっと工房に立ち寄って、制作風景を見学することも自由。商店の軒先に掲げられた木彫りの看板やバス停の行先表示板などを見てまわるのも楽しい<井波彫刻総合会館>

 城端から車で10分。名刹瑞泉寺の門前町、八日町通りや本町通りには彫刻工房が軒を連ねる。250年ほど前、焼失した瑞泉寺再建のために京都本願寺から派遣されてきた御用彫刻師・前川三四郎が、地元の大工に技法を伝えたのが始まりだという。「井波彫刻は徒弟制。親方から弟子へと技術が受け継がれていきます。ですから、前川三四郎から今に至るまでの彫刻師の系図がつくれるんですよ」(井波彫刻協同組合・高桑良昭理事長)。井波という土地で育まれ、過去から現在へと連綿と受け継がれてきた匠の技なのだ。「ここまで来たら、最後はやっぱり五箇山よね」。城端から五箇山まで車で20分。相倉集落を散策していると、一軒の合掌造りに「和紙すき体験館」の看板を見つけた。「今は組合で和紙を作っていますが、昔は集落総出で楮を煮て、それぞれ持ち帰って自分の家で漉いていたんです」と農事協同組合法人 五箇山和紙の前崎真也さん。五箇山和紙のこだわりは、今でも地元で栽培した楮を使っているところだという。さっそくやってみた。木枠で原料をすくい、上下左右にゆすって繊維をからませ、簀子からそっとはがす。できたばかりの真っ白な和紙の上に、富山の旅の思い出が浮かんできた。

この春、空き家になっていた相倉集落の合掌造りを組合が借り受けて「和紙すき体験館」をオープンした。和紙すき体験のほか、五箇山和紙を使った民芸品などが買える。写真の日傘は持ち手の部分に井波彫刻が施されている<農事組合法人 五箇山和紙>

株式会社 松井機業
電話番号 0763-62-1230
URL www.shikesilk.com

城端曳山会館
電話番号 0763-62-2165

井波彫刻総合会館
電話番号 0763-82-5158

農事組合法人 五箇山和紙
電話番号 0763-66-2016

photo:Atsushi Hashimoto / Mami Yamada
illustration:Megumi Asakura
text:CREA Traveller
produced:Sachiko Seki
cooperation:Toyama-ken / Toyama-shi / Takaoka-shi / Nanto-shi