明治日本の産業革命にまつわる世界遺産を船上から見て回る

 元船桟橋から出船し、しばらくすると、右手に巨大なクレーンが見えてきます。造船業形成期に建てられた、日本で最初の電動クレーン「ジャイアント・カンチレバークレーン」です。

 そして「第三船渠」。さらに造船所所長の迎賓館・占勝閣(せんしょうかく)と、続きます。

 これらも、明治日本の産業革命にまつわる世界遺産です。上陸ツアーでは軍艦島のみならず、明治期の日本の産業を支えた遺産を船上から見て回れます。

 他にも、戦艦「武蔵」が誕生したBERTH NO.2や沖ノ島天主堂、かつては人が暮らした岩礁の横島なども通り過ぎます。

 そしてブラックダイヤモンド号の特徴は、軍艦島と隣接し、ともに炭鉱産業を盛り上げた高島がコースに含まれている点。

 高島の石炭資料館の前には軍艦島の100分の1模型が設置されています。これが実に精巧にできていて、鳥の目線で島のイメージを描きやすいです。

 軍艦島は南北約480メートル、東西約160メートル、周囲約1.2キロ。島の素地は中央の岩盤のみで、あとは6回にわたる埋め立て工事によって3倍ほど大きく造成された半人工島です。

 上陸するのは、南側の約230メートルの通路のみ。あとは船上からぐるりと回って島を眺めます。

 高島にある模型では、かつて賑わっていた頃の軍艦島がどうなっていたか、という説明を受けます。

2021.04.24(土)
文・撮影=古関千恵子