チェンマイは、「北方の薔薇」と称される美しい古都。正方形の掘割に囲まれた旧市街には古刹が並び、優雅なるラーンナー文化の遺風を今に伝える。この街は、人類の遺伝子に訴えかけずにはおかない普遍的なノスタルジーに満ちているようだ。あくせくと急がず、のんびりと旅情に浸りたい。

 チェンマイの魅力を3回にわたり紹介。今回は寺院・仏教遺跡。

» 第2回 噂の三大口福レストラン
» 第3回 フォーシーズンズリゾート チェンマイ

【Access】
バンコク・スワンナプーム国際空港から飛行機でチェンマイ国際空港まで約1時間10分。

数々の古刹に残されたラーンナー王国の面影

 チェンマイは、700年もの歴史を誇る古都である。ラーンナー王国がその建国とともに、この地を都に定めたのは1296年のこと。

 それ以来、チェンマイには数多くの寺院が建立された。旧市街を歩けば、文字通りいたるところで仏閣を目にすることだろう。一説には、チェンマイに残る寺院・仏教遺跡の数は300を超えるという。

 チェンマイの寺院の特徴は、その優雅でシックなデザインにある。屋根や破風に見られる丸みを帯びたライン、華麗で繊細な彫刻や透かし彫りなどをじっくりと観察したい。

 また、ラオスやビルマ、スコータイ、アユタヤなど、覇を競った周辺の王朝からの影響を如実に反映しているのも興味深いところだ。

最古という風格
ワット・チェン・マン

わびさびを感じる石の基壇と黄金の尖塔のコントラストが印象的

水晶と大理石でできた仏像も必見

 ラーンナー王国の始祖メンラーイ王が1296年に創立した、チェンマイ最古の寺院。往時は王宮としても用いられたという。厨子に安置された水晶および大理石で作られた2体の小さな仏像は、それぞれ1800年以上さかのぼる来歴を持つ。

黄金の仏像を祀った本堂は、きらびやかな装飾が施された入り口の破風も必見

Wat Chiang Man (ワット・チェン・マン)
拝観時間 8:00~17:00
定休日 無休
拝観料 心付け程度

まだある! 巡礼したい古寺

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photographs:Atsushi Hashimoto
realization & text:CREA Traveller
coordination:Toshiko Nishida