チェンマイは、「北方の薔薇」と称される美しい古都。正方形の掘割に囲まれた旧市街には古刹が並び、優雅なるラーンナー文化の遺風を今に伝える。この街は、人類の遺伝子に訴えかけずにはおかない普遍的なノスタルジーに満ちているようだ。あくせくと急がず、のんびりと旅情に浸りたい。

チェンマイの魅力を3回にわたり紹介。今回は心癒されるリゾートホテル。

» 第1回 チェンマイ古寺巡礼
» 第2回 噂の三大口福レストラン

【Access】
バンコク・スワンナプーム国際空港から飛行機でチェンマイ国際空港まで約1時間10分。

かくれ里の田園風景が心を癒やす極上リゾート
フォーシーズンズリゾート チェンマイ

左:地元の農民が丹精する水田には、毎年2000kgもの米が実る。池の上に建てられたサラでは、ディナーを楽しむことも可能
右:郷愁を喚起する棚田の夜。客室と渡り廊下でつながったプライベートなサラで懐かしい景色を堪能したい

 古都を離れ、一路北へ。車は、緑に抱かれた谷を目指す。

 レセプションでチェックインを済ませ、このリゾートの全貌を見渡すテラスへと足を踏み出した瞬間、誰もが息を呑むことだろう。

 目の前に広がるのは、世にも美しき棚田の風景。その周りを里山が囲み、点景のごとく東屋・サラが立つ。

アッパー ライス テラス パビリオンの広々とした客室

 白洲正子が描いた「かくれ里」や中国のいにしえ人が憧れた桃源郷とは、こんなところだったのではないか。そう思わせる絶景だ。

 眼下に収まるこの景色はすべて、フォーシーズンズリゾート チェンマイの敷地。これは、もはやホテルやリゾートといったレベルに収まらない。ひとつの村をつくり上げた壮大な試みといえよう。

プール ヴィラにはその名の通りプライベートプールを擁する

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photographs:Atsushi Hashimoto
realization & text:CREA Traveller
coordination:Toshiko Nishida