北端から南端までの約1650キロに、美味しさと楽しさがぎっしりと詰まった玉手箱、それがタイである。
なかでも世界トップクラスのリゾート、サムイ島の魅力を2回に渡り紹介。今回は島の北岸に立つ、隠れ家リゾート。
ほどよい成熟リゾートに満ち足りる
別名、ココナッツアイランドというほど、全島をパームツリーが覆うサムイ島。だが、島はその可愛い別称のイメージとは趣を異に、グローバルスタンダードのリゾートが妍を競う。少し前までは、自由気ままな若者リゾートだったが、いまは世界中のツーリストがヴァカンスを過ごしにやって来る。
そんなサムイ島でおすすめするのが、ここナパサイ。島の北岸、ゆるやかな坂に沿うように立つ。ゲートから、水牛が草食む広い芝地を経て到達する、喧騒とは無縁の隠れ家リゾート。タイらしさをふまえたコンテンポラリーな建築は、チークをふんだんに使い、落ち着いた雰囲気を醸し出す。
すべての客室は独立したヴィラタイプで、プライベートがきっちり守られる。日比谷公園ほどの広さの敷地は、広過ぎず、狭からず。誠に、ほどよい。オープンして10年も経ていないが、老舗ホテルのようにシックな印象を与えるのは、さすがのオリエント・エクスプレス・ホテルズ。間違いがない。
右:リゾートには、あらゆる場所に年代物のアンティークが飾られ、そのステータスをアップさせている。大仰でないところがまたこころ憎い演出
photographs:Yuji Ono