●トラウマから始まった映画の魅力

――そして、『恋のクレイジーロード』、『恋するけだもの』という2本の映画が生まれたわけですね。

 白石監督から「田中俊介と一緒に映画をやりたい」というお話をいただき、『恋のクレイジーロード』が生まれることになり、それをきっかけに、全国各地のミニシアターを回ることになったんです。それで、劇場支配人やスタッフの生の声を聞くことができるようになりましたし、インディーズのいろんな監督や役者とも交流できるようになりました。

 そして、「田中俊介映画祭」という過去作を集めた企画上映もやっていただきましたし、出演作もどんどん増えていくようになりました。

――今では映画好きとしても知られる田中さんですが、『ジュマンジ』から始まる映画の魅力を教えてください。

 『ジュマンジ』は子どもの頃に、TVで観たんです。ボードゲームの世界が現実になるという話なので、ホラーではないのですが、あまりの怖さに衝撃を受けて、トラウマになるほどでした。映画を観ることを通じて、現実では味わえない体験をできることに魅了されていき、後々いろんな作品を観るようになったんです。

 今ではジャンルを問わず、いろんな国の映画を観ていますが、1990年生まれの僕にとって、70年代からの90年にかけての日本映画が持っていたパワーには、憧れを感じています。

~次回は最新出演映画『タイトル、拒絶』についても語っていただきます~

田中俊介(たなか・しゅんすけ)

1990年1月28日生まれ。愛知県出身。17年、『ダブルミンツ』で映画初主演を務めたほか、『恋のクレイジーロード』(18年)『デッドエンドの思い出』(19年)にも主演。『ミッドナイトスワン』が公開中のほか、11月21日より主演作『恋するけだもの』が公開。

『タイトル、拒絶』

雑居ビルにある事務所で、デリヘル嬢の世話係であるカノウ(伊藤沙莉)は、さまざまな文句を突きつける彼女たちへの対応に右往左往。人気No.1のマヒル(恒松祐里)が店に戻ると、部屋の空気は一変していた。ある日、モデルのような体型の若い女が入店したことで、店内の人間関係が崩れ始めていく。
http://lifeuntitled.info/
新宿シネマカリテ、シネクイント他 全国順次公開中
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Column

厳選「いい男」大図鑑

 映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。

2020.11.20(金)
文=くれい響
撮影=山元茂樹
スタイリング=中川原有(CaNN)