シェフの遊びごころとテクに“いっぱい”食わされる
カリマ

左:“チェリーと生クリーム”の一皿。実際は、クリーミィなフォワグラと チーズで作られたもの
右:“岩のある風景”と題した料理は、岩に見立てたエビ煎餅のような土台にカマロン(小さな川エビ)、カメノテ、海水で作ったゼリーに海藻を入れたものなどが飾ってある。磯の香り豊かな一品

 日本でも名の通る、新進気鋭のシェフのダニ。彼はここマルベージャの出身だ。23歳にして自分の店をもち、2年でミシュランの星を獲得。あのエル・ブジのフェラン・アドリア氏も太鼓判の怪童だった。液体窒素を使った調理法やジェル化による調理法など、新しい技術を発明することでも知られている。

 でも、本人も料理も、全然エッジィじゃない。もちろん頭の中はそうとう“脱構築”なのだろうが、気のいいシェフ。作る料理は、当然のことながら、おいしい。

22品のデギュスタシオン・メニューのみ。150ユーロでダニのめくるめく世界を堪能する。必ずメニューに取り入れているのが、キスキージャというエビで、生の脂の優雅さは比類のないものだという。特別おすすめは6月のアーモンド、アホ・ブランコ

「誰が食べてもおいしく上品な料理を、驚きのある料理に発展させるのが仕事だ」と話す、彼の言葉に嘘はなかった。メニューの半分が伝統料理で、残り半分が遊びの料理というが、彼の伝統料理は一筋縄ではない。確かに食べると伝統料理でも、コンセプトも技術も、時には食材までも新しさに満ちているのだ。人が想像できないことを考えるのが好きという、“食えない”シェフなのだ。

 ジモティのシェフおすすめのローカル食材は、マグロとキスキージャと呼ばれるエビと、アーモンド。ここは世界一のマグロが獲れ、マグロはいろいろな可能性を秘めた食材なのだそうだ。とにかく必食。彼の料理を食べないテはない。

左:Dani Garcia「料理は、口に入れたらまず、おいしいが基本。次に、いろいろな発見や驚きが展開される、そんな料理が僕の目指す料理だ」と
右:店はガラス越しのオープンキッチンになっているが、ダニの料理は食べてみないと理解できない

Calima (カリマ)
住所 Calle Jose Melia, Marbella, Malaga
電話番号 +34-952-764-252
URL www.restaurantecalima.es
営業時間 19:30~22:00
定休日 日・月曜日、10月16日~3月14日
※カリマはホテル、グラン・メリア・ドン・ペペ内にある。

photographs:Yuji Ono
realization & text:Satsuki Ohsawa
coordination:Terumi Moriya