日本から輸入した着物をドレスに作り替え
次のセクションでは、着物が初めて海外に紹介された17世紀半ばからの、海外における着物について展示されています。ここでは例えば、フランス産のファブリックを使った着物や、日本から輸入した着物をドレスに作り替えた例などが展示されています。
こちらも絵画や家具なども含め、さまざまなアプローチで海を渡った「Kimono」について考察がなされていて、日本人の見学者にとっても目新しいものがたっぷり。
1800年から1850年の京都で作られた着物を、ロンドンのテイラーが巧みにドレスに作り替えた好例。1876年~1878年の制作。
1860年代~1870年代に英国に渡った多くの高級な着物のひとつ。夏用の単衣で、左側に展示されている肖像画のなかで着用されているもの。ドレスの上に透け感のある着物を羽織るというセンスが絶妙。
1920年~1930年にオーストリア人画家グスタフ・クリムトのミューズ、エミーリエ・フレーゲによってデザインされたと思われる着物風コート。
ヨーロッパ製の絹で作られた、知られる限り唯一の江戸時代の着物。18世紀にフランスで織られた絹が、おそらく外交上の贈呈品として日本にもたらされたものと考えられているのだそう。
英国、またはフランスで作られた布を使用し、日本で作られた男性用の襦袢。
当時、男性がなかなか着られなかった柄物を下着で身に着けるという、隠れたおしゃれだったのかもしれません。
このセクションの終わりには、スタイルは変わらずとも色柄がモダンになっていった日本の着物の例がずらり。鏡を使った展示でインパクト大。
文・撮影=安田和代(KRess Europe)