Zoom会議&グループセラピーは 現代版『デカメロン』

 人生で迷子になったときは、歴史がヒントを与えてくれます。

 ペストが猛威を振るう14世紀、イタリア・ルネッサンス初期の大作家、ボッカッチョは、後世に残る短編小説集『デカメロン』を、土星と冥王星がコンジャンクションしている最中に執筆しています。

 この作品はペストを逃れて郊外に移り住んだ男女10人が、10日に渡り1日1話ずつを語り合うという設定。

 ペストの恐怖から逃れたいという心理が背景にあり、人文主義の傑作といわれています。

 これを2020年の今に置き換えてみると、「STAY HOME-家で過ごそう」がお約束となった4月頃から一気に広がったオンライン飲み会やSNSでの料理リレーやブックカバーチャレンジなどが思い出されます。

 コロナの恐怖や今後の生活不安を抱えた私たちは、「だれかとつながりたい」「今の気持ちを正直に吐き出したい」のでしょう。

 この気持ちは14世紀の人々と、何ら変わりはないのに驚かされます。

 ちなみに『デカメロン』では、日によって話のテーマが決められ、話し手はそれに沿ってお話を紡いでいくのですが、テーマがかなり面白いので、ここで紹介しておきます。

①    自由テーマ

②    多くの困難を経たのち栄光や幸福を得た人の話

③    長い間欲しかったもの、あるいは失ったものを手に入れた話

④    不幸な恋人たちの話

⑤    不幸の後に幸福に巡り合う恋人たちの話

⑥    とっさのうまい返答で危機を回避した人の話

⑦    夫をだました妻の話

⑧    男が女を、女が男をだます話

⑨    自由テーマ

⑩    気高く寛大な行為についての話

 このスタイルは現代でいうとグループセラピーです。

 土星と冥王星のコンジャンクションがもたらす抑うつ的な気分を解消するには、自分の気持ちをだれかに正直に話す、伝えることが大切なのだと思います。

 またやり場のない喪失感にさいなまれたときは、ちゃんと怒りちゃんと悲しむこと。それでも人類の長い歴史の中で、明けない夜明けはありません。

 人間は社会的な生き物です。だれかとつながりたいと思ったら、ぜひ「オンライン・デカメロン」で心のバランスを取り、今あなたが出来ることを粛々と行うことです。

 経済的な不安を抱えている人は、別の収入を得るプランも練ってみましょう。また当たり前のことですが、ちゃんと美味しいものを食べて眠る。

 新しい時代の予兆は、そこここに見え隠れするものです。

 そして女性の感性のアンテナは、この先の時代をリードする“面白いもの”をキャッチする感度に優れているものです。

岡本翔子(おかもと しょうこ)

心理占星学研究家。英国占星学協会会員で、日本における心理占星学のパイオニア。占星術や月に関する著書・翻訳多数。
公式サイト http://okamotoshoko.com
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