繰り返しアニメ化されてきた『ゲゲゲの鬼太郎』。キャラクターブック『ねこ娘大全』『ねずみ男大全』が発売されるなど人気は衰えないが、2018年4月より放送中の第6期も、惜しまれながらあと3話を残すのみとなった。

 放送中の2年間に、どのような出来事があったのか? 最終話の見どころは? プロデューサーの永富大地さんに話をうかがった。


SNS時代に新作を出すプレッシャー

――最終回のアフレコが無事終了したと伺いました。収録はどのような雰囲気だったのでしょうか。

永富 「普段通りにやりましょう」と言っている僕が一番、浮ついていました(笑)。キャストのみなさんは普通な感じでしたね。

 でも、前説といって、収録を始める前に僕が少し喋るんですが、その声が上ずっていて、それを聞いた犬山まな(編注・6期オリジナルのキャラクター)役の藤井(ゆきよ)さんは泣きそうだったらしいと、あとでねこ娘役の庄司(宇芽香)さんが教えてくれました。そのときは全然わからなかったのですが(笑)。

――ここまでの放送を振り返って、印象に残っているエピソードはありますか?

永富 思い入れのある話はたくさんあるので、どれか1、2本に絞れと言われると困ってしまいますね。

 あえて1年目の放送話数のなかから挙げるとすれば、1話「妖怪が目覚めた日」、7話「幽霊電車」、14話「まくら返しと幻の夢」、20話「妖花の記憶」あたりでしょうか。

――それらのエピソードを選んだ理由は。

永富 1話は、僕らの『鬼太郎』を初めて出すときに、1本目にはどういう話がふさわしいんだろうと、小川(孝治)監督、シリーズ構成の大野木(寛)さんとすごく長い時間、議論して生み出したものなので。

 僕らとしては、面白いものができたはずだと自信があったんだけど、これを世の中に出したときに、本当にお客さんの気持ちを掴むものになったのかどうか、分からなかったんですよね。

 今はSNSもあるし、お客さんの声が我々に届きやすい環境。どういう反応が返ってくるのか、すごくドキドキしたので印象に残っています。

――7話「幽霊電車」は、毎シーズンで放送されている定番エピソードです。

永富 今回の鬼太郎は、必ずしも人間の味方をするわけではない。人間が間違ったことをしていたら、妖怪の側につく。

 「幽霊電車」は、今シーズンの序盤のほうで、鬼太郎が必ず人間の味方をするわけではないと宣言したエピソードになりました。

 「幽霊電車」は、どのシーズンも面白く作られていて、特に直近の5期の「幽霊電車」が、とても怖いんですよね。僕らとしても、歴代で一番怖い「幽霊電車」にしようと話していました。

2020.03.07(土)
文=CREA WEB編集部