●観客に「クズ野郎」とまで言ってもらえる嬉しさ

――19年には、稲垣吾郎さん、長谷川博己さんと共演された『半世界』や、久しぶりに極悪人を演じられた『閉鎖病棟 ―それぞれの朝―』に出演し、「第34回高崎映画祭」 最優秀助演男優賞や、「第32回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞」助演男優賞を受賞されました。

 『半世界』の光彦という役は、阪本順治監督がなんとなく俺をイメージしながら、意識して脚本を書いてくださったので、やりやすかったです。稲垣さんは、とても素朴な人で、話しやすかったですね。忙しすぎて、ちゃんと飲みに行くことはできなかったのが残念ですけど。

 『閉鎖病棟』は、(主演の笑福亭)鶴瓶さんが司会された「巷の噺」というバラエティ番組に出たとき、映画を観た人がVTRで俺が演じたキャラを「クズ野郎」とまで言ってくれたんです。そこまで徹底して嫌われることに、平山秀幸監督も喜んでくれて光栄でした! 正直「わぁ!」と怒鳴って暴れる役はやりやすいですね。

――さて、松本穂香さんとのW主演となる最新作『酔うと化け物になる父がつらい』。今回演じられたトシフミは、娘にとっての“バケモノ”ながら、どこか愛されキャラにならなきゃいけない大変さもあったのでしょうか。

 そこは、あんまり考えなかったです。片桐(健滋)監督は、豊田監督の助監督をやっていた頃からよく知ってるし、デビュー作の『ルームロンダリング』のときから、しっかり監督の色も出しているし、どこかで信頼しているんですよ。「空いていれば、何でも出るよ!」といった関係性ですし、采配は任せました。

2020.03.06(金)
文=くれい響
撮影=平松市聖
ヘアメイク=山崎惠子