和食がユネスコ無形文化遺産に登録され、“世界一の美食都市”と称される東京。

 寿司、てんぷら、そば、鰻、とんかつ、ラーメン、洋食など、幅広いジャンルの味が独自の進化を遂げ続けている。連綿と育まれてきた東京の味のなかで、今食べるべきは何か。おすすめの10軒をご紹介。


明治42年創業 唯一無二の鳥鍋の名店

●鳥栄

 玄関を入ると、奥の厨房から響き渡る包丁のトントントンという軽快な音が出迎えてくれる。

 創業は明治42年。座敷には1日5組をもてなすための囲炉裏が置かれ、午後の早い時間から炭火の火熾こしが始まる。

 メニューは鳥鍋のみ。主役の鳥肉は「東京しゃも」と千葉の「錦爽どり」。胸肉、もも肉、脾臓、心臓、砂肝、肝臓の盛り合わせを、2種の鳥からとったガラスープで味わう。

 滋味溢れるつくねのファンも多い。冒頭のトントントンという音を響かせて鳥肉をとろとろになるまで叩き、つなぎに卵を加えたふわりとした食感は絶品だ。

鳥栄

所在地 東京都台東区池之端1-2-1
電話番号 03-3831-5009
営業時間 18:00~21:00  
定休日 日曜、第1・3月曜、祝日
※鳥鍋のコース 7,200円(税込)、要予約。予約は奇数月の1日 8:00から(1日が定休日の場合は翌営業日)、翌月、翌々月を受け付ける。

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Text=Yukari Akiyama
Photo=Wataru Sato