20世紀を代表するクチュリエ、クリスチャン・ディオールが最初のコレクションを発表したのは、1947年のこと。
それから70年を記念して、昨年は、お膝元のパリ装飾芸術美術館にて大規模なディオール展が開催されました。
このパリでのディオール展をベースに、英国におけるディオールの活躍に着目するセクションなどを加えたエキシビション「Christian Dior: Designer of Dreams」がロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート・ミュージアム(以下V&A)にて、2019年2月2日から開催されています。
V&Aにとっては、2015年のアレキサンダー・マックイーン展以来の大規模なファッション展であり、またパリでの展示をベースにしているとはいえ、合計約500点の展示品のうち60%が新たに加えられたもの、ということで、プレビューにも大勢の関係者が訪れ、いつも以上の熱気に包まれていました。
ディオールの人生を俯瞰する最初のギャラリーから始まるこのエキシビションは、合計11のスペースで構成されています。
1947年のディオールの最初のコレクションをフィーチャーした「The New Look」、1947年から1957年に発表された10のコレクションを振り返る「The Dior Line」に続く、4つめのギャラリーが今回の目玉ともいえる「Dior in Britain」です。
「There is no other country in the world, besides my own, whose way of life I like so much(自国をのぞいて、世界中でその生活様式がこれほど好きな国はほかにない)」という言葉を残したほど、ディオールの英国愛は深かったとのこと。
このギャラリーには、ディオールが英国のクライアントのためにデザインした数々のドレスや、英国でのショーで発表した作品などが展示されています。
なかでも注目すべきは、エリザベス二世女王の妹である故マーガレット妃が21歳の誕生日に身につけたという美しいドレス。
英国人写真家セシル・ビートンが撮影した当時の巨大ポートレートも同時に壁を飾っています。
セシル・ビートンといえば、エリザベス女王の戴冠式の公式写真を手がけた写真家として有名ですが、60年代にV&Aが最初のディオール作品を入手する際に間を取り持ったというエピソードも。
V&Aとディオールにとっては、つながりの深い人物のようです。
文・撮影=安田和代(KRess Europe)