ゼロから世界観を
作り上げる楽しさ

――時同じくして、ジャイボ役を演じられた「ライチ☆光クラブ」の舞台も話題になり、アニメ版の声優も担当されましたね。

 初演では、スケジュールの都合で、僕がいちばん最後に稽古に入ったこともあって、とにかく一生懸命でしたね。だから、そのときの記憶がなくて、どちらかというと再演の方が覚えています。再演の稽古も1週間ぐらいしかなかったですけれど、主演の木村了ちゃんに、いろいろと助けてもらった作品です。アニメ版では初めて声の仕事もやらせてもらいましたが……絵に声を合わせるのが、とにかく難しくて、自分には向いてないかも、と思いました(笑)。

――この2本は初演から携わったわけですが、2.5次元の世界観をゼロから作り上げることに関しては、いかがですか?

 僕的にはゼロから作り上げる方が楽だと思っています。とにかく失うものが何もないですし、「演出家やスタッフさんと作り上げたものを、お客さんがどう受け入れてくれるんだろう?」という楽しみしかない。反対に、すでに出来上がっている作品に、後から参加させてもらう方がプレッシャーありますね。

~次回は最新出演映画『ONLY SILVER FISH ‐WATER TANK OF MARY'S ROOM』についても語っていただきます。~

玉城裕規(たまき ゆうき)

1985年12月17日生まれ。沖縄県出身。2011年、舞台「少年ハリウッド」の伊達竜之介役で注目を浴びる。翌12年、舞台「弱虫ペダル」の東堂尽八役でも人気を博し、17年のドラマ「弱虫ペダルSeason2」にも同役で出演。舞台「ライチ☆光クラブ」では、劇中「奇人で変人」ジャイボ役を熱演。辻仁成氏の初の脚本・演出作「海峡の光」にも出演、大ヒットコミックの舞台「曇天に笑う」では主演を務め、18年は映画『ゼニガタ』『一人の息子』に出演するなど、幅広く活躍。19年には、舞台「画狂人 北斎」(2019年1月10日~20日・新国立劇場)、ミュージカル「ふたり阿国」(2019年3月29日~4月15日・明治座)が控える。

『ONLY SILVER FISH ‐WATER TANK OF MARY'S ROOM』

とある洋館に集められた男女の目的は、“オンリーシルバーフィッシュ”という一匹の魚。その魚は本当の名を呼ぶことで、過去を振り返ることが出来ると言われているが、魚の本当の名前を知ることが出来るのは、ゲームの勝者だけだ。最初のゲームは、一斉に指をさして脱落者を一人決めるというもので、開始直前、黒ネクタイの男(松田凌)はユキ(皆本麻帆)が誰を指そうと考えているかを言い当て、負けるはずだったユキを救う。その後も男は彼女を脱落させないため、白ネクタイの男(玉城裕規)らと、誰にも気付かれぬようヒントを与えるが、徐々にゲームの歯車は狂い始める。
http://www.mmj-pro.co.jp/onlysilverfish/
2018年11月24日(土)よりシネリーブル池袋にて公開他、全国順次
(C)2018「ONLY SILVER FISH」製作委員会

くれい響 (くれい ひびき)

1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。

Column

厳選「いい男」大図鑑

 映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。

2018.11.23(金)
文=くれい響
撮影=佐藤 亘
ヘアメイク=泉脇崇(Lomalia)
衣装=瓢子ちあき