圧倒的な量感と映像の美しさに感嘆

 《花と人、コントロールできないけれども、共に生きる -A Whole Year per Hour》では、時間の経過とともに、空間全体に花が咲き渡り、その圧倒的な量感と映像の美しさに圧倒される。

 空間全体に咲く花は、人がじっとしているとたくさん咲き、人が歩くと散ってゆく。

 光で描かれた魚群が空間を自由に泳ぎまわり、その軌跡が光跡となって、まるで海の中にいるような感覚になるのが《The Way of the Sea, そして境界を越えて飛ぶ -Colors of Life》。

 魚は観客を把握し、ぶつからないように避けてゆく。魚群に触れると、魚たちは人々の持つ色に染まっていく。

 四方と下方全てが映像で囲われた空間を、光で描かれた白いカラスが猛スピードで行き交う《追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして超越する空間》は、プロジェクションによって観客の方向感覚が失われ、壁と床の境界がわからなくなる。

 そして、白いカラスはこの場を飛び去ると、さまざまな作品の中に入り縦横無尽に飛び回り、他の作品に影響を与える。カラス同士がぶつかると、カラスは散って花になり、カラスが花の上を通ると花は散る。

文・撮影=景山由美子