本場シチリアで味わう日本人シェフの繊細なシチリア料理

左:歴史ある建物をモロッコ風に改装したモダンな店内
右:日本人シェフとタッグを組んで話題をよぶオーナー・イーヴォ氏

 イタリアにある星付きリストランテや名だたる有名店のキッチンには、必ずと言ってもいいほど日本人の姿があります。新たな道を切り開くため、本場で修業する料理人たちですが、数カ月~数年と、それぞれの計画に合わせて帰国する人も多く、なかなか表舞台で活躍するチャンスは少ないのが実情。また、母国の味に誇りを持ち、保守的な傾向があるイタリア人相手に、看板シェフにはイタリア人を据えるケースも多いもの(たとえ、キッチンで活躍しているのが日本人であったとしても!)。

左:アミューズは、モッツァレッラチーズを詰めたダッテリーニをガスパチョソースで
右:シチリア産オレンジのソースでいただく赤海老のカルパッチョ。新鮮で甘い!

 そんな状況のなか、日本人シェフを起用したのは、ピエモンテ出身のオーナー、イーヴォ・ヴァッティ氏。トリノでも同名のリストランテを経営する氏は、日本人と働いた経験も豊富で「日本人の味に対する繊細さ、仕事の丁寧さには敬服する」と絶大な信頼を寄せています。

左:誉れ高いブロンテ産ピスタチオを練り込んだタリオリーニは、香ばしさを増す赤海老をからめて
右:ホクホクに仕上げたスズキとポテトのスフレ、レモンのソースでさっぱりと
「オイノス」の顔となった稲田シェフ

 今回、看板シェフとなった稲田シェフは、ピエモンテやシチリア各地、前出の「ラ・マディア」にも在籍した経歴の持ち主。「イタリア各地で学んだ本場の料理と、日本のイタリア料理を融合させた料理が、僕の料理。保守的なイタリア人には偏見もあるかと思いますが、イタリアの家庭料理も各家庭で味が違うもの。僕の味で本場のイタリア人を納得させてみたい」。

 ちなみに、ドルチェ担当は日本人女性。「ミクニ・マルノウチ」など、フレンチ・レストランでパティシエとして働いた後、イタリアのドルチェを研究するために渡伊を決意した塩月さん。「彼女のテクニックは“メラヴィリオーゾ(素晴らしい)”」と氏も絶賛です。

 シチリアの美味なる食材を使い、見目麗しくそして繊細に仕立て上げられたシチリア料理は、イタリア人たちの評判も上々。アウェイで勝負する2人を、ぜひとも応援していきたいものです。

Oinos
住所 Via della Giudecca, 69/75
電話 +39‐0931-464900

岩田デノーラ砂和子
フリーライター・コーディネーター・イタリア語通訳。2001年より、イタリア在住。メディアコーディネートおよび女性誌、WEBに執筆するほか、イタリア関連書籍多数。近著は人気シリーズ第3弾「街歩きのイタリア語」。
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:「ローマの平日シチリア便り」最近加わったワンコとイタリア暮らしネタが話題!
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