ユニークなパブリックアートも登場
オリンピックに合わせてロンドン市内にパブリックアートを展示するプロジェクトも行われている。
オリンピックパーク内にはアーティストのアニッシュ・カプーアと構造エンジニアのセシル・バルモンドの共同デザインによる鉄塔「アルセロールミッタル・オービット」が登場。高さは115メートルで、展望台からはオリンピック会場が一望できる。
(C) ArcelorMittal
またロンドン中心地のトラファルガー広場には、北欧出身のアーティスト・ユニット、エルムグリーン&ドラッグセットによる彫刻作品が設置されている。広場の四隅にある四つの台座のうち、三つには大英帝国の英雄の銅像が設置されているが、ひとつには何も置かれていない。ここにアート作品を置くというプロジェクトが1999年から始まり、今年はエルムグリーン&ドラッグセットが選ばれた。
Elmgreen & Dragset
Powerless Structures, Fig. 101, 2012
bronze cast 4.11m Unique
Photo by: James O Jenkins
Courtesy Taka Ishii Gallery
台座に置かれたのは、木馬に乗って遊ぶ少年のブロンズ像。「勝利や敗北といった主題に関わるよりもむしろ、人が成長するなかでの日々の挑戦をほめたたえるパブリックな彫刻をつくりたかった」というのがアーティストふたりのコメントだ。
そのほかロンドン・オリンピックの公式ポスターのデザインには、レイチェル・ホワイトリード、トレイシー・エミン、クリス・オフィリなどの現代アーティストが起用されている。スポーツ観戦だけではなく、旬の現代アートも存分に楽しめるところが今のロンドンらしい。
サーペンタイン・ギャラリー・パヴィリオン
期間 2012年6月1日~10月14日
URL www.serpentinegallery.org
テート・モダン
URL www.tate.org.uk/visit/tate-modern
アルセロールミッタル・オービット
URL www.arcelormittalorbit.com
鈴木布美子(すずきふみこ)
ジャーナリスト。80年代後半から映画批評、インタビューを数多く手掛ける。近年は主に現代アートや建築の分野で活動している。