洞窟風呂に美肌ファンゴ
パンテレリア島で湯めぐりを

黒い溶岩が印象的なパンテレリア島。船着場の奥に温泉が湧くカーラ・ガディール。

 さて、シチリア島の南側に位置するパンテレリア島にも、温泉が湧いています。島全体が火山の島で、周囲はただただ、海ばかり。

 1年じゅう360度から風が吹き付けるため、かつては「ベン・リエ(もしくはベン・エ・リー)」(アラブ語で風の娘の意味)と呼ばれた島には、地を這うように育つカッペリ(ケイパー)や、世界遺産にもなった「アルベレッロ・パンテスコ」方式で栽培される背の低いブドウの木々、丸いドーム型の屋根を載せた伝統建築ダムーゾが織りなす、エキゾチックで独特な風景が広がります。

カーラ・ガディールの海水プールと岩風呂。

 最後の噴火は1891年。溶岩が流れるままに固まったような複雑な黒い入江に湧く温泉「カーラ・ガディール」は、セメントの壁で仕切ってなんとなく適温になっている海水プールと岩場を囲った熱めの温泉。

左:洞窟温泉グロッタ・ディ・サターリア。
右:この温泉で古代ギリシャ神話の英雄オデュッセウスと海の女神カリュプソーが出会ったという伝説が残る。

 島の西側にある洞窟風呂「グロッタ・ディ・サターリア」には、温度が異なるバスタブ程度の大きさの四角いプールが洞窟内に並んでいます。洞窟内は真っ暗で、バスタブに入ってみると中は海藻でいっぱい! もしくは「他に誰かいた!」なんてぎょっとすることも。

 湯温は結構高くて日本の温泉風ではあるものの、多少の勇気が必要でなかなかホッコリとはいきませんが、古代より関節痛に効くと言われ親しまれた、歴史ある温泉のひとつ。洞窟前には、波がそのまま打ち寄せるダイナミックな温泉プールがあります。

「ヴィーナスの鏡」と呼ばれる美しい湖ラーゴ・ディ・スペッキオ・ディ・ヴェーネレ。

 内陸に突如現れる「スペッキオ・ディ・ヴェーネレ」(ヴィーナスの鏡)と呼ばれる湖は、美しい碧色の湖の底に溜まるファンゴにご注目。ミネラル成分を含み、美肌効果があるとされています。ほのかに温かいファンゴをすくって思う存分塗って洗い流せば、ツルツルの肌に!?

湖の底に溜まるほのかに温かいファンゴ。美肌効果があるという。

 これらの絶景天然露天風呂は、すべて水着の着用が必須。タオルやアメニティなど至れり尽せりのサービスは、一切ありません!

 海藻あり、温度は不安定、すべてのコンディションは、地球の都合によって変わります(笑)。ダイナミックな温泉体験で、身も心もたくましく、大らかになる効果が得られる……かもしれません。

 なお、いずれの温泉ともに、その効果は人によって異なりますので、あしからず。

エオリア諸島・ヴルカーノ島
アクセス シチリア島ミラッツォから高速船で約45分(夏季はパレルモからも運航、約4時間20分)

パンテレリア島
アクセス シチリア島パレルモから飛行機で約45分、トラパニから約40分(夏季はローマ、ミラノなどイタリア各地から直行便が運航)。トラパニ港からフェリーもあり(約7時間30分)

岩田デノーラ砂和子
2001年よりイタリア在住のライター/コーディネーター/通訳。現在はシチリア州パレルモ在住。イタリア専門コーディネートチーム「Buonprogetto.com」を主宰するほか、個人旅行者向けイタリア旅行サイト「La Vacanza Italiana」を運営。イケメン犬ボン先輩とヤラカシ系イタリア人の夫との日々を綴るBLOG「ボン先輩は今日もご機嫌」が、ただ今人気急上昇中!

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文・撮影=岩田デノーラ砂和子