もっとも見応えがあるのは金曜日明け方

 なかでも見応えがあるのは、金曜日の明け方5時頃から行われる「十字架の道行き(Camino del Calvario)」のプロセシオン。山車が通る間、住民は太鼓やラッパを鳴らし続け、十字架を担いだキリストが人々のあざけりのなか、自分の処刑地に向かった場面を再現するのである。

凄い数の市民が集まる

 連日のプロセシオンの間、大勢の市民が、ある時は熱狂し、ある時は沈黙し、頭を垂れて祈りをささげる様子を見ていると、宗教離れが語られる現在のスペインでも、まだまだ人々の心の底には信仰心が深く根付いているということを実感させられるだろう。なお期間中には「宗教音楽祭(Semana de Música Religiosa)」も開かれ、カテドラルをはじめ、市内の教会やホールで行われる多くのコンサートを目当てにやってくる音楽ファンも多い。

宗教音楽祭も開かれる

 クエンカへはマドリッドからバスで約2時間。旧市街はユネスコ世界遺産に登録されており、断崖にへばりつくように建ち並ぶ「宙づりの家(Casas Colgadas)」はクエンカのシンボル。その一部を利用した「抽象美術館(Museo de Arte Abstracto Español)」も、見応え十分。16世紀の修道院を改修したパラドールからは、断崖を挟んで宙づりの家を眺められ、宿泊しなくても立ち寄りたいところだ。

 残念ながら聖週間の時期に行けない方は、市内の「聖週間博物館(Museo de la Semana Santa)」で、わずかなりともその雰囲気を味わってみてほしい。

クエンカの聖週間の詳しい情報
URL www.juntacofradiascuenca.es (スペイン語のみ)
クエンカ観光財団
URL www.turismocuenca.com
クエンカ市観光局
URL turismo.cuenca.es (スペイン語のみ)

坪田みゆき(つぼたみゆき)
バルセロナ在住、コーディネイター。大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)イスパニア語学科卒。在東京スペイン政府観光局勤務などを経て、2004年よりバルセロナ在住。バルセロナ、バレアレス諸島(マヨルカ島他)、バスク地方などを中心に、スペイン全土の取材コーディネイトの他、通訳・翻訳業務も行っている。http://spainbcn.exblog.jp/

 

Column

気になる世界の街角から

世界の12都市から、何が旬で何が起きているかをリポートするこのコーナー。
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text:Miyuki Tsubota
photographs:Fundación Turismo de Cuenca