数あるスペインのお祭りのなかでも、特に盛大に行われるもののひとつが「聖週間 セマナ・サンタ(Semana Santa)」のお祭りだ。キリストの受難と死を記念し、その後の復活を祝うもので、2012年は4月1日~8日がその聖週間にあたる。

クエンカのシンボル、宙吊りの家

 スペインの全国各地で行われるこのお祭り、町によって内容や規模に差はあるものの、メインの行事は何といっても「プロセシオン(Procesión)」と呼ばれる行列だ。各教会の信徒会がキリストやマリア像を掲げた山車を担ぎ町を練り歩くもので、信徒たちの独特の三角帽子もよく知られている。特に有名なのはセビーヤやマラガだが、今回はちょっとはずして、別の町の聖週間をご紹介しよう。

 マドリッドの東、約170kmのところにあるクエンカ(Cuenca)という町をご存じだろうか。最近はアニメ『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』の舞台としてこの町のイメージが使われたことから、訪れる日本人も増えているそうだが、それでもスペインのなかではメジャーな観光地とはほど遠い。そして、世界遺産にも登録されている静かな古都であるクエンカの聖週間が、国際観光行事としても認定されているほど盛大なものであることは、スペイン人の間でもあまり知られていない。

17世紀から続くクエンカのプロセシオン

 クエンカの聖週間のプロセシオンは17世紀から続いており、キリストの生涯をなぞる形で行われるのが特徴。初日の「キリストのエルサレム入城」のプロセシオンから始まって、最終日の「死から復活したキリスト」まで、その間には「最後の晩餐」や「ユダの裏切り」など、信者ではなくても絵画や映画でおなじみの場面を象徴するプロセシオンが続く。

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text:Miyuki Tsubota
photographs:Fundación Turismo de Cuenca