「ハイダ」の産地は
人口約1400人の小さな集落
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スイス・ヴァリス州のフィスパーテルミネン村は、人口約1400人の小さな集落。ヨーロッパでもっとも標高が高い地域(つまり最高峰!)で生産されるワイン「ハイダ」が有名で、またの名をハイダドルフ村。
標高650メートルのフィスパ川のほとりから1150メートルの山腹にぶどう畑が広がっていて、標高差500メートルの間に石垣で区切られた段々畑が折り重なり、この希少なぶどうを用いた美酒は、ワイン農家たちの誇りでもあるのです。
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「アルペンワインの真珠」ともいわれるハイダは、ソヴィニヨン・ブランやトラミネールから派生したぶどう品種からつくられます。村でのワイン作りの歴史はとても古く、古代ケルト人がすでにこの地でぶどうの栽培を行っていた記録も残っているほど。ヴァリス州は雨が少なく、降水量は年間600ミリ程度。フェーン現象により秋になっても暖かいので、美味しいワインを作る条件が整っています。
ぶどう畑は、スイスで最も乾燥した地域の山の南斜面にあり、太陽に温められた段々畑の石垣には良質のぶどうを生み出す効果も。厳しい気候のため、ぶどうの実は大きくは育たず、収穫量も少ないけれども、小粒の果実には糖度が高く凝縮しています。アルコール度も高く、コシがあってドライな味わいと、フルーティな香りが素晴らしいワインとなるのです。
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ハイダの名前は、古くは1586年の記録に残っています。山上のぶどう畑に水をやるために作られた小さな小川が「ハイドー」と名付けられていたそうです。
それぞれの農家はあまり多くのぶどうの木を持っていなかったことから、一時はぶどう作りが衰退し、存続が危ぶまれたハイダワイン。1979年には、ザンクト・ヨーデルン・ケラーの協同組合が設立され、現在は村の約550人が組合に加入。ぶどう畑の広さは、合計約45ヘクタール、東京ドーム約9.5個分の大きさとなっています。
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右:いよいよ出荷されるのを待つハイダワイン。
小さな段々畑には、農業機械を入れるスペースがないため、ぶどうの収穫は今も手作業。標高差があるので、畑の位置によって収穫時期が異なり、山麓と山上では約5週間もの差があるのだそう。
それが醸造所に持ち込まれ、赤・白を合わせて年間約40万本のワインとなって出荷されます。ザンクト・ヨーデルン・ケラーでは、白ワインの生産が約60%、そのうちの約4割がハイダとなります。
St. Jodern Kellerei (ザンクト・ヨーデルン・ケラー)
所在地 Unterstalden 2 3932 Visperterminen
電話番号 027-948-43-48
http://www.jodernkellerei.ch/
文・撮影=西村志津