滞在するホテルが旅のスタイルを導くフィレンツェ。温かなホスピタリティでゲストを迎える名門をご紹介する。

» 第2回 よりパーソナルに深化する安らかな隠れ家
» 第3回 絶好のロケーションに建つクラシックホテル

リゾートの魅力を深めた
華麗なる空間でくつろぐ

◆Villa Cora
(ヴィッラ・コーラ)

夕暮れ時、ホテルは往時の趣を深める。庭園の木立の向こうにはフィレンツェ市街を見渡して。

 フィレンツェに歴史を感じさせるホテルは多いが、古都の象徴となれば「ヴィッラ・コーラ」に定まる。19世紀、館はオッペンハイム公により建造。この地が国の首都だった時代は迎賓館の役割を果たし、その後も王侯貴族に愛された。現在に至るまで多くの国賓を迎え、歴史の舞台であり続けている名門だ。

「鏡の間」の奥、「白の間」に飾られた彫像には、オッペンハイム公妃の面差しを映したという伝説も。

 ボーボリ公園へと続く小高い丘の上、バラが咲き誇る庭園にホテルは立っている。エントランスを抜けると次々、絢爛なホールが。各国からゲストが集い、毎夜、首都の舞踏会が繰り広げられた「鏡の間」。オッペンハイム公妃への愛を込めた贈り物だったとも伝わる「白の間」。フィレンツェ工芸の粋を尽くした広間からは、華やかな時代の面影が匂い立つ。

撮影=小野祐次
取材・文=上保雅美
コーディネイト=大平美智子