使い方のアイデアが広がる
アーティスティックなビネガー9種

まるで化学の実験室のような、カルト・ビネガー全9種類。(写真提供:Cult Ceramics)

 英国でも、発酵食品は身体にいいという観点から、健康意識の高い人の間では、ヨーグルトや野菜のピクルス、ザワークラウトなどを自宅でつくる人が増えています。なかには日本で1970年代に流行した紅茶キノコや、キムチに挑戦する冒険家も。しかし、意外と知られていないのが、自宅でできるワインビネガーづくりです。

 そんな自家製ビネガーを広めようと立ち上がったのが、カルト・セラミックスのジョナサン・ブラウンさん。5年前にフランスの友人宅で、飲み残しワインを材料に古い瓶でつくられた自家製ビネガーのおいしさに目覚めたジョナサンさんは、自宅キッチンでお気に入りワインを使ってビネガーを作り始めます。

カルト・セラミックスのジョナサン・ブラウンさん(左)とビリー・ロイドさん(右)。

 フランスで購入した昔ながらの瓶ふたつに、栓を抜いて放置したリンゴ酒の表面にたまった酵母菌とともに、それぞれ白ワイン、赤ワインを仕込んで待つこと3カ月。味わい深いワインビネガーができあがりました。

ジョナサンさんが少量生産したカルト・ビネガーの数々。それぞれがすべて個性的豊かなテイスト。
ロンドンのデイルズフォード・ファームショップで行われたワークショップには8種類のビネガーがずらり。スプーンですくって直接味わったり、パンに浸して味見したり、香りや味の違いを思い思いに楽しめるイベントでした。

 それを皮切りに、さまざまなワインでビネガーづくりの実験を繰り返したなかで生まれたのが、カルト・ビネガーのシリーズです。

 ユニークな特徴のある白ワインと赤ワインを使った9種類のビネガーは、それぞれが個性豊か。そのまま飲みたくなる甘さのスペインのマスカットワインを使ったビネガーから、赤身の肉料理にマッチしそうな深いテイストのポルトワインのビネガーまで、使い方のアイデアが広がります。

文=安田和代(KRess Europe)