英国おみやげ選びの新基準
great tasteのロゴに注目

 英国のデパートの食品売り場やちょっとおしゃれな食品店に行くと、黒地に「great taste」の白抜き文字のロゴがついた商品を時々見かけます。このロゴ、実は食のクオリティを評価するアワード・マークなのです。

クオリティを証明するマークがこれ。

 主催しているのは、業界誌の発行などを通じて、秀逸な食品を扱う個人の生産者や独立系のリテーラーをプロモートするザ・ギルド・オブ・ファイン・フード(The Guild of Fine Food)。1994年に始まった審査システムで、エントリーされたプロダクトはすべて、ラベルやブランド名がわかる表示が取り除かれた状態にされたうえで、シェフや批評家、リテーラーなど食業界に携わる専門家によって試食されます。

great tasteを主催するギルド・オブ・ファイン・フードの社長、ジョン・ファランドさん。

 「審査こそがgreat tasteの命なんです」と話すのは、great tasteを主催するギルド・オブ・ファイン・フードの社長、ジョン・ファランドさん。その審査のプロセスたるや実に厳格!

 ドーセットとロンドンをはじめとする英国とアイルランドの各審査会場には、それぞれ6~8つのテーブルが設置され、各テーブルを4人の審査員が囲み、試食が行われます。4人全員が試食した結果、1ツ星、2ツ星、3ツ星、または星なしの決断が下されるのですが、審査はそこでは終わりません。

 すべてのプロダクトはひとつめのテーブルでの審査結果とともに、少なくとももうひとつ、別のテーブルに回され、さらに4人の審査員が試食することになります。そこで、星なし、1ツ星、2ツ星のプロダクトに関しては、前テーブルの審査に合意されれば審査は終了。

 星の数だけでなく、審査員からの詳細なフィードバックも合わせて、生産者に返されます。

左:審査員のなかには業界で名の知れた有名人も多数。全員無報酬で審査を務めます。主婦向けのお料理番組や家事番組のTVプレゼンター、アギー・マッケーンジーさん(左)とセルフリッジズの食部門の責任者ブルース・ラングランズさん(右)。
右:フード・ジャーナリストのジョアンナ・ブライズマンさんも審査員のひとり。

 そこで合意に至らなかったプロダクトは、合意が得られるまで、さらなるテーブルへと送られることになります。また3ツ星のプロダクトは、すべてのテーブルをまわり、すべての審査員が3ツ星に合意しなければいけません。

3ツ星を獲得したプロダクトのなかから、さらにトップ16を選ぶ第2回戦の審査風景。

 「great tasteのロゴはよく見かけるから、エントリーすればみんなもらえるんだろう、なんて声を聞くことがありますが、全体の7割はひとつも星をもらえないのです。星をもらえる3割のなかでも、3ツ星と評価されるのは全エントリーのわずか1.5%ほどです」とジョンさんは話します。

 星なしと判断された70%は当然のことながら、このロゴを表示することは許されません。逆に言うと、このロゴがついた商品の味のクオリティは、少なくとも8人以上の専門家によって保証されている、ということなのです。

文=安田和代(KRess Europe)