上級者向けフード・マーケット「スパ・ターミナス」

 ロンドンのフード・マーケットといえば、このコラムのロンドン篇第1回「歩いて楽しいロンドン・フード・マーケットめぐり」でもご紹介したバラ・マーケットが、なんといっても有名ですが、あまりにも有名になり過ぎたせいで、実は弊害も生じています。

カラフルなパッケージのジャムがずらりと並んでいます。手前にあるのは、ジャムを凝固させたようなフルーツ・チーズ(3ポンド/100グラム)。ジャムはひとつ4ポンド、ふたつ買うと6.50ポンドと、数を買うほど割引が適用されます。

 かつては業者たちの卸売りを中心としていた市場に、いつのまにか観光客が極端に増加、商業化が進み、場所代の値上げ、各スペースが狭くなり作業場がなくなった、駐車スペースにも問題が……など、ここ数年の間に、バラ・マーケットから脱出する業者もいるようです。

 そんな業者が目指す先のひとつが、今回ご紹介する「スパ・ターミナス」です。バラ・マーケットのあるロンドン・ブリッジ駅からバーモンジー駅に向かう高架下スペースに、青果、精肉、チーズ、ビール、ワインなどを扱う25業者が入り、平日は卸売りのみ、土曜日の午前中から午後2時くらいまでの間だけ一般客に販売する、というスタイルのマーケットです。

この日は夏休みで閉ざされている扉もありましたが、このようなアーチ型のスペースにそれぞれの業者が入っています。
左:スパ・ターミナスの看板。いくつかのブロックに分かれていて、それぞれのブロックに入っている業者の名前が掲げられています。
右:かつてこのあたりに、ロンドン初の鉄道の終着駅(ターミナス)があったことを示す写真も。

 毎週土曜日には大勢の人でごったがえすフード・マーケット、モルトビー・ストリートからも至近距離にありながら、いまのところ比較的静かで、落ち着いて買い物のできるスポットです。また近くには、ドゥルイド・ストリート・マーケットという新たなフード・マーケットもつい最近登場し、近隣エリアを含め、目の離せない地域です。

最近近隣に登場したドゥルイド・ストリート・マーケット。手軽にランチが楽しめます。

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文・撮影=安田和代(KRess Europe)