廃棄処分になるはずの食材を
プロのシェフが料理するチャリティ・カフェ

 今日、英国で消費されずに、埋め立て地に廃棄される食品は、年間で410万トン。これは、国内で生産される食糧のなんと40%にものぼるのだそうです。そんな現状に一石を投じたのが、2013年2月にリーズで始まった「リアル・ジャンク・フード・プロジェクト」。廃棄処分される食品には、まだまだちゃんと食べられるものがたくさんある。そんな食品でつくったおいしい食事を、お腹が空いている人たちに食べてもらおう、というプロジェクトです。

創設者のひとりで、シェフのジェームズ・スマートさん。
お料理の一例。アボカドを使ったフレッシュサラダ。

 以来、英国内で次々に賛同者が手を挙げ、各地にひとつ、またひとつと、同様のカフェが立ち上がっていくなかで、ロンドンにも昨年11月に「セイブ・ザ・デイト・カフェ」が誕生しました。シェフのジェームズ・スマートさんとルース・マッケイブさんを中心に、ボランティアで運営しています。

左:地元の子ども連れ家族からホームレスまで、多彩な人々が集う。
右:わかりづらい裏道にあるため、道路に道案内が書かれていました。

 東ロンドンのダルストンの裏道の一角に、簡易に建てられた、まるで物置小屋のような小さな建物がこのカフェのキッチン。小さいながらも、必要なものはすべて揃っています。基本はオープンエアですが、今年3月には、ボランティアたちによって手作りの屋根付きのダイニングスペースもつくられました。これは、2012年のロンドン・オリンピック時の施設を解体した際に排出された、廃材を再利用しているとのこと。ここで供されるお料理には値段がついておらず、PAYF(Pay as You Feel=気が向いただけ払う)をポリシーとしています。

文・撮影=安田和代(KRess Europe)