約60万人が住む北欧ノルウェーの首都オスロ。

 こぢんまりとした街のサイズに加え、毎日氷点下の寒い冬は特に、人々は散歩がてら「ご近所さん」的なカフェライフを楽しむ傾向にある。

 スターバックスこそないこの街だが、自国チェーン系の中でも豆の質に力を入れている「カフェ・ブレネリエ」や「ストックフレッツ」、有名バリスタが始めた小さいコーヒー専門店などは、散歩がてらの客がひっきりなしである。

ティム・ヴェンデルボーもバリスタ選手権優勝経験を持つティムさんがはじめたコーヒー専門店。店内でコーヒー講座なども行う

 ノルウェーは世界でも屈指の物価の高さで有名だが、人々の生活水準も正比例して高いこの街で、特に感度の高いオスロのCREA世代はここ最近、質の高い食材にもどん欲だ。その一つとして昨今の「美味しいコーヒー」ブームがあげられる。

 数年前のリサーチ結果ではあるが、ノルウェーのコーヒー消費量は実に全世界のコーヒー消費量の5%を占めている(総人口から考えると実に高いパーセンテージである)そうだ。実際これまでに数多くの世界バリスタ選手権優勝者を生み出してきたこのコーヒー王国に住む人々にとって「美味しいコーヒー」を語り、そして飲むのはむしろ日常といっても過言ではない。

60年代の航空会社を意識? したような、シンプルでインパクトのある鳥マークが目印の「FUGLEN:フュグレン」。比較的交通量の多い大通りに面している

 そんな世界に先駆けてコーヒーに対する感度の高いオスロのトレンド人の間で密かに人気の隠れ家的カフェバーがここ、「FUGLEN:フュグレン(鳥カフェ)」である。

 美味しいコーヒーを雰囲気のある店でさりげなく飲めるスポットとして、「MONOCLE」をはじめとする数々の雑誌でも紹介された。

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text:Riko Iriyama