ペルーの大地が育む
多様な命を一皿に盛り込む

◆ Central (セントラル)

活気にあふれるオープンキッチン。

 2016年版「世界のベストレストラン50」において、「NOMA」などの有名店を上回る4位に輝いた「セントラル」は今、世界が最も注視する一軒。シェフのビルジリオ・マルティネス氏は、若くして優れた才能を開花、2008年に31歳で自らのお店をオープンした。

250種以上のペルー食材を駆使するシェフのビルジリオ・マルティネス氏。レストランの2階には植物研究室が。

「でも、そのころの料理はひどいもんだったよ。なんの哲学もなかったからね」

 漠然とした違和感をもちながら厨房に立っていたそんなある日、書類上の不備から営業停止処分を受けてしまう。

 「そこで1年間、ペルー中を旅することにしたんです」。新鮮な魚介に恵まれる沿岸地方から、密林が広がるアマゾン、そしてアンデスの高山地帯まで、標高が上がるごとに多彩な表情を見せる豊かな食文化。

「その素晴らしさを実感して、“マーテル・エレベーション(母なる標高)”のコンセプトを発見できました」

 17皿からなる壮大なコースには、地元の人々と協力して絶滅の危機から救った希少な食材のほか、“食べられるバクテリア”としてアンデスで珍重されるクシュロ(藍藻)なども取り入れる。一皿一皿に満載された未知なる食材と、それがもたらす美味の感覚は、まさに前代未聞。世界を牽引する独創的な美食世界がここにある。

 なお、2017年にレストランをバランコ地区へ移転させ、クスコに研究所の設立を計画中とのこと。シェフのさらなる飛躍から目が離せない。

撮影=橋本 篤
取材・文=矢野詔次郎
構成=矢野詔次郎
取材協力=コンドルトラベル
協力=PROMPERÚ ペルー政府観光庁