トロントは舞台芸術のメインストリーム

ジブ・パラスラム氏。カナダ・ハリファックス出身。トロント大学で演劇と国際関係を学ぶ。トロントを拠点にする演劇集団Pandemicの共同オーナー&創設者で、1968年創設の劇団Theatre Passe Murailleのプロデューサーとしても活躍。

 エルジン・アンド・ウィンター・ガーデンのようなスケールの大きい劇場から、インディペンデントまで個性豊か。幅広いジャンルのパフォーマンスを毎日鑑賞できるのがトロント最大の魅力です。そのため目が肥えた観客も多く、エンタテインメントが育まれる土壌でもある。

 ただ劇団を設立するのは容易な反面、運営がうまくいかず、わずか数年で撤退するものも少なくありません。良い舞台だけが残る。トロントは厳しい舞台芸術のなかでもメインストリームに位置する、世界でも有数の都市です。挑戦的な街だから、私も思い切った演出にトライできます。

 疲れたとき、アイディアが欲しいときは近くの島や山で気分転換することも。大自然に囲まれた大都市というのも希少ですよね。

◆ Four Seasons Centre
(フォー・シーズンズ・センター)

(C)Lucia Graca

 最高ランクの音響と設備を備えたオペラとバレエ専門の劇場として2006年6月にオープン。カナディアン・オペラ・カンパニーとカナダ国立バレエ団の本拠地としても有名だ。馬蹄形のマルチユースシアターと、野外シアターを展開する。

(C)Sam Javanrouh

Four Seasons Centre
(フォー・シーズンズ・センター)

所在地 145 Queen Street West, Toronto
電話番号 416-363-8231
http://www.coc.ca/AboutTheCOC/FourSeasonsCentre.aspx
※2016年12月10日よりカナダ国立バレエ団による上演あり。

◆ The Princess of Wales Theatre
(プリンセス・オブ・ウェールズ劇場)

(C)Evan Dion

 トロント演劇界最大の「マーヴィッシュ・プロダクション」による2番目の劇場で『ミス・サイゴン』『美女と野獣』など上演。アメリカを代表する現代芸術家フランク・ステラが壁面やレリーフに独創的なアートワークを手がけたことでも有名。

(C)Mirvish Productions

The Princess of Wales Theatre
(プリンセス・オブ・ウェールズ劇場)

所在地 300 King Street West, Tronto
電話番号 416-872-1212
http://www.mirvish.com/theatres/princess-of-wales-theatre
※2016年12月13日よりブロードウェイで大成功をおさめた『The illusionists』を上演。

◆ Royal Alexandra Theatre
(ロイヤル・アレキサンドラ劇場)

(C)Edward Burtynsky

 1907年に誕生した劇場で、19世紀の重厚なボザール様式を採用。国の歴史的建造物に指定されている。「プリンセス・オブ・ウェールズ」と同じ大手プロダクションが運営しており、プレミアム作品を数多く上演するトロントで中心的存在の劇場。

(C)Royal Alexandra Theatre

Royal Alexandra Theatre(ロイヤル・アレキサンドラ劇場)
所在地 260 King Street West, Toronto
電話番号 416-872-1212
http://www.mirvish.com/theatres/royal-alexandra-theatre
※2017年1月17日より、エリザベス女王を主役に見立てた舞台『The Audience』の上演を予定。

撮影=橋本 篤
取材・文=粂 真美子
コーディネイト=ナウマン優子
地図制作=シーマップ
取材協力=カナダ観光局