大都市らしくビジネス街をイメージさせるが、トロントは世界トップクラスのシアターシティだ。拍手と歓声に高揚する夢の扉を今、開こう。

エキサイティングな夜の街で
非日常に満ちた感動体験を

夜になり一層、輝きを増すエンタテインメント地区が眼下に。

 カナダ最大の都市であり日本から東の玄関口でもあるトロントは、先住民族であるヒューロン族の言葉で「トランテン=(人と会う場所)」を意味する。由来通り、民族は多様で互いを尊重しながら暮らすコスモポリタンシティだ。

 ここのリベラルな市民性がエンタテインメントの地盤を育むのか、大小40カ所以上もの劇場が点在する。芸術や文化に対しての政府や民間の財政援助も厚く、バレエ団とダンスカンパニーは50以上、6つのオペラ団体とふたつの交響楽団が精力的に活動する。日本では、バレエ団は全国で数えても10程度。数字で示すだけでもトロントの文化活動がいかに盛んかがわかる。

左:エンタテインメント・ディストリクトはCNタワーのほど近く。
右:趣向の異なるふたつの劇場で構成される、エルジン・アンド・ウィンター・ガーデン劇場。

 キング通り西沿いのふたつの劇場、ロイヤル・アレクサンドラ劇場とプリンセス・オブ・ウェールズ劇場を中心とした一帯は、エンタテインメント・ディストリクトと呼ばれ、国際映画祭のメイン会場にもなるエリアだ。この界隈をメインにミュージカルやバレエ、オペラとバラエティに富むパフォーマンスが毎夜繰り広げられている。

 今でこそ華やかで活況なこの地区も、第一次世界大戦後は荒廃していた時期があったという。不遇の時代を経てもなお輝き、一流のエンタテインメントを知る目の肥えた観客によって都市に活気と躍動感が生まれている。日常では得難い感動をもたらすエキサイティングな夜。旅に欠かせない醍醐味だ。

TORONTO(トロント)
北米有数の都市であり、オンタリオ州の州都。金融センターとして発展を遂げたこの街には世界的スケールの劇場が数多く点在する。ミュージカルもオペラもバレエも思いのままに。
通貨 カナダドル(1カナダドル=約83円 ※2016年11月現在)
電話(国番号) +1

撮影=橋本 篤
取材・文=粂 真美子
コーディネイト=ナウマン優子
地図制作=シーマップ
取材協力=カナダ観光局