ロンドンの格調高いホテルはとり澄ましているどころか、常に華々しく、かまびすしい。

 王族やセレブたちの人間臭く賑やかな逸話に加え、最先端を突っ走る食やサービス、そして家よりも落ち着ける快適さと平穏もあり。ロンドン滞在だからこそレガシーホテルを遊び尽くせ!

» 第1回 ロイヤルだからこそ親しみやすい「クラリッジス」
» 第3回 絶妙のプライベート感「ザ・バークレー」
» 第4回 小気味よく新鮮なクラシック「ザ・レインズボロウ」

ダンディでコスモポリタンな美意識を貫くコノート

◆ THE CONNAUGHT (ザ・コノート)

左:安藤忠雄が設計したオブジェと見事にマッチ。
右:マホガニーの階段。外から帰ると犬の絵が迎えてくれるのは英国式マナーハウスの定石だ。

 ヴィクトリア女王の7番目の子どもにちなむ名の通り、格式でいえば同じメイフェアのクラリッジスにも引けはとらない。だがコノートはまるで異なる個性で、訪れる者を魅了する。

左:カーペットの緋色はバッキンガム宮殿以外では、コノートにのみ許された色。
右:ドアマンの、キャメルのトレンチコートとハット姿も、美観の一部。

 ロビーには過去にラルフ・ローレンが惚れ込んで買い取りたいと申し出た、重厚なマホガニーの吹き抜け階段が鎮座する。エレベーターホールへの廊下にはホルスト・P・ホルストのポートレート作品が飾られ、ホテルを出れば安藤忠雄が設計した水のオブジェ《沈黙》が目に飛び込んでくる。さらに「コノート・バー」の名物マティーニは、気分や好みに応じてフルーティからドライまで変幻自在の“ビスポーク・サービス”でシェイクしてくれる。

「コノート・バー」のマティーニはビスポーク式。スパイシーまたはフローラルなど好みを伝えると、バーテンダーが30種類以上のジンやベルモットを選んでカルダモンやラベンダーで香りづけし、即興で作ってくれる。1杯 21~50ポンド。

Photo=Yuji Ono
Text=Kazuhiro Nanyo
Coordination=Mihoko Ogawa-Higgins
Special Thanks=VisitBritain