舌を喜ばせてくれる細やかな食材選びと調理

Toqué!(トケ!)

鹿肉のカルパッチョには、ゼンマイ、メロン、ハーブ、貝や去年の野菜のピクルスをトッピング。マヨソースと赤唐辛子のソースで頂戴する。シンプルな料理だが複雑な味。

 北米のパリといわれるだけあって、この街には絶品のフレンチを供する店が多い。が、中でも屈指が「トケ!」。シェフのノーマンがつくり出す料理は繊細で、だが、どこか大地のような安心感がある。

 こだわり抜いた食材は、小規模でプロフェッショナルな農家多数と契約し、各々の得意な作物や肉を提供してもらう。野菜だけで25軒ほどの農家と契約しているとか。さらに生ゴミは肥料にして、農家に戻すという徹底ぶり。店の屋上にも菜園をつくり、摘みたてのハーブなどが料理に使われる。

左:シェフのノーマンは、スタッフを叱ったことが一度もないという人格者。「だって若い人が失敗したら、それを頼んだ僕の責任でしょ」と……。23人のスタッフとは週に60時間以上をともに働く。スポーツチームみたいなものなのだとか。
右:美しいデザートは、イタリアンでおなじみのカネローニをルバーブスライスで包んだもの。ソルベはルバーブ。中のホワイトチョコとルバーブの苦味が相性バッチリだ。

 テイスティングメニュー7皿で117カナダドル+税金。ちょっと高くて手が出ないという人には、5年前にオープンしたブラッスリーがおすすめ。同様のコンセプトの料理がカジュアルにいただける。

Toqué!(トケ!)
所在地 900 Place Jean-Paul-Riopelle,Montréal, Québec
電話番号 +1-514-499-2084
営業時間 11:30~13:45(火~金曜)、17:30~22:00(金・土曜 ~22時30分)
定休日 日・月曜
URL http://www.restaurant-toque.com/

構成・文=大沢さつき
撮影=志水 隆
コーディネイト=鈴木浩子、森 一英
協力=カナダ観光局、プリンス・エドワード島州政府観光局、ケベック州政府観光局