カナダの東。『赤毛のアン』で知られるプリンス・エドワード島ではゆったりとした時間に親しみ、美食の街モントリオールでは交錯する多様な異文化に思わずうなる。もちろん、おいしいものを頬張りながら。

プリンス・エドワード島といえばロブスターが有名。ロブスター漁は北海岸が初夏、南海岸が晩夏~秋に解禁となる。新鮮なロブスターを食べに出かけるならこの時期だ。漁業権は現在新しく発行されていないので、多くが父から息子へと引き継がれているのだとか。だからルークのような子供たちは小さな頃から、船に乗って父親の手伝いをしている。ロブスターを掴むのも手馴れたものだ。

 カナダは世界第2位を誇る広さゆえ、地域や州によってさまざまな顔を見せる。東端のプリンス・エドワード島も小さいながら個性的。他にはない魅力であふれている。

 島に最初に移り住んだ先住民族ミクマックは、ここを“アベグエイト(波間に浮かぶ揺りかご)”と呼んだ。厳しい北の海に囲まれながら、なんとも安らかで豊かな地。食べるものだけでなく、時間空間が丸ごと滋味深い。そんな島なのだ。

 この緑の島には、30~40種類もの緑があるといわれる。萌黄、若草、深緑、裏葉……。これら緑の絨毯を走る赤土と、ぐるりと囲む海のブルー。アクセントのように咲き乱れる花々やカラフルな家々。島に行ったらまず、この色彩を堪能しなくては。

ケベック州一のシェフ、ノーマン・ラプリーズのスペシャリテ“ロブスター・バター”。白と緑のアスパラガスとラディッシュを添えた一品は、ソースづくりに1時間以上かかる。ケベック州のロブスターは、プリンス・エドワード島と同じ海域にあるマグダレン諸島で獲れる。シェフはここのロブスター漁師と契約し、良質なものを仕入れている。

 かたやモントリオールはカナダ第2の都市だ。17世紀の街並みとモダンな高層ビル、そして緑豊かな自然が絶妙にミックスされた街。もちろん北米フランス文化の拠点なのだが、そこはカナダ。いっときを統べた英国の面影、あらゆる国からの移民文化が、文字通りモザイクのごとく街の模様を描いている。

 異文化融合が顕著なのは食文化だ。フランスの矜持とばかりのフレンチは当然ながら、中華街、リトルイタリー……。純白のテーブルクロスの高級店から、充実のB級グルメまで。モントリオールにはありとあらゆる“食”が待機している。その欲張りなまでのエネルギーが、この街を活性させ、人生を謳歌させていると気づかされるはずだ。


カナダの東、『赤毛のアン』の島は
ゆったりスローライフで快適度満点!

プリンス・エドワード島はロブスターをはじめオイスターなどシーフードがおいしいが、実は農産物も美味。30種類ものポテトは、カナダ産の3割を占める特産品だ。オーガニック農家も多く、自然の旨味たっぷりの食材に出合える。

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B級グルメから洗練料理まで
カナダの食都モントリオールは、深い

カナダならではの緑多い都市は、フレンチの聖地でありガッツリこってりのB級グルメ揃う、懐深い食都だ。よく観察すると、通りによってさりげなく区分された異文化のたたずまいを感じることができ、ここが移民の国と知る。

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【取材協力】
カナダ観光局

URL http://canada.jp/

プリンス・エドワード島州政府観光局
URL https://www.tourismpei.com/jp/

ケベック州政府観光局
URL https://www.quebecoriginal.com/

Feature

カナダ、感嘆の旅

構成・文=大沢さつき
撮影=志水 隆
コーディネイト=鈴木浩子、森 一英
協力=カナダ観光局、プリンス・エドワード島州政府観光局、ケベック州政府観光局

この記事の掲載号

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