シチリアン・バーガーの名店が、パレルモにも進出!

「イタリアでバーガー?」

 イタリアには、歴史と伝統のパニーノ(日本風に言えばパニーニ)があるじゃないか! と突っ込みどころは満載ですが、アメリカ風のボリューミーなハンバーガーは、ここ数年でイタリア全土を席巻。もはや定着した感も漂います。

ボリューム感たっぷりのバーガーたち。手前は、噂のロバ肉100%のバーガー、SHEKバーガー 8.9ユーロ。バンズは、ひまわりの種をのせた焼き立てを使用。

 そもそもパニーノとは、小さなパンのこと。具材を挟んだものもまとめてパニーノと呼ばれますから、バーガーもパニーノでいいのだけれど。まあ、イタリア人もたまには英語風に“BURGHER(ブルゲール)”と呼びたいときだってありましょう(ちなみに三角形のいわゆる食パンのサンドイッチは、トラメッツィーノと呼びます)。

 さて、そんなバーガー。ここイタリア最南端のシチリアにも上陸し、食にうるさい島人を相手に、美味な展開を見せております。

ケバブやストリートフード店が軒を連ねるパレルモのファストフード激戦区オリベッラ広場。週末は夜中遅くまで人々でにぎわう。

 2012年、シチリア東岸の街カターニャに誕生した「FUD ボッテーガ・シクーラ」。日本語的には“シチリアの食工房”となるこの店が打ち出すのは、徹底的に地元産食材にこだわった、ハイクオリティのシチリアン・バーガー。その美味しさは、“シチリアLOVE”の島民はもちろん、グルメ業界人の間に瞬く間に広まって、今や知る人ぞ知る名店に成長。わざわざ遠方から足を運ぶ人も続出する人気店になっています。

 そしてその期待の2号店が、なんと島の西岸、州都のパレルモにもオープン。早くも島じゅうの話題をさらっています。「次はミラノあたりに進出するかと思えば、満を持して、パレルモか~っ!」。

2015年9月15日、パレルモ旧市街に登場した「FUD ボッテーガ・シクーラ」。
業界20年以上の経験を持ち、シチリアのレストラン業界を知り尽くすオーナー、アンドレア・グラッツィアーノさんと奥さま。

 爆発的な人気に、実は「イタリア各地はもちろん、国外からも支店契約の熱いアプローチが届いていたんです」と言うオーナーのアンドレア・グラッツィアーノ氏。2号店の場所をパレルモに決めたのは、郷土愛のなせる業かと思いきや、「シチリア全土で認められなければ、堂々と“シチリアの食工房”を名乗れないからね」と、武士的(!?)な律儀さを見せるカターニャ人のオーナー氏。

 曰く、「パレルモは、食に関してかなり保守的」だそうで、パレルモを制してこそのシチリア制覇。納得してから先に進みたいというわけです。島の事情はいろいろのようです。果たして、保守派パレルミターニたちの心をつかめるか? FUDの新たな挑戦は始まったばかりです。

 さて、そんな律儀なオーナーご自慢のシチリア尽くしのハンバーガー。どんなメニューなのでしょう?

文・撮影=岩田デノーラ砂和子