ローカルブームを牽引するのはブルックリンだ。

 エコノミーショックのあとマンハッタンからブルックリンに移った若者が起業し、ブルックリン産の物作りにチャレンジした。

 流行りに乗っかっただけの人たちはもういない。いま軌道に乗っているのは、商品への愛と地元とのコミュニケーションを大切にしている“ヒップスター”ばかりだ。

» 第1回 人気のアーバン・ワイナリー「Brooklyn Winery」
» 第3回 ご機嫌なビール工場「Brooklyn Brewery」
» 第4回 日本未輸入の大人チョコ「Nunu」
» 第5回 メイドインNYのジャム「Anarchy in a Jar」
» 第6回 ホットソース専門店「Heatonist」

◆ Kings County Distillery (キングス・カウンティ蒸留所)

“ローカル”にこだわる地ウイスキーの本気度

左からコーンウイスキーのムーンシャイン。12カ月以上アメリカンオークで寝かせたバーボン。ブルックリンで有名なチョコレート店「マストブラザーズ」のカカオ豆をムーンシャインに浸して造る、チョコレートウイスキー。
マスターブレンダーのニコル・オースティンは30歳。

 「ニューヨークで一番古いウイスキー蒸留所」は、まだ創業5年。2009年、ニューヨーク州の酒類製造法規制緩和により、ライセンスが取得しやすくなった。それをきっかけに翌年、二人の若者がブルックリンで蒸留所を造る夢をかなえた。

 原料の80パーセントをニューヨーク州産でまかない、伝統的な蒸留法で造っている。種類はまだ、ムーンシャイン、バーボン、チョコレートウイスキーの3種しかないが、すでに賞を取るなど注目度は高い。

 かつて海軍の持ち物だったビルをリノベートし、そこで若者たちが愛を持ってウイスキー造りに精を出す姿は、熱くてクールだ。

左:スコットランド製のポットスチル(蒸留釜)。
右:樽は小さいほど熟成が早い。

Kings County Distillery(キングス・カウンティ蒸留所)
所在地 63 Flushing Ave., Brooklyn, NY
営業時間 テイスティングツアー 水・金曜15:00~(HPで要予約)、
土曜13:00~15:45(予約不要)
定休日 日~火・木曜
URL http://kingscountydistillery.com/

文=CREA Traveller編集部
撮影=橋本 篤
コーディネート=日比野靖代(fish*co.)