NYにはラグジュアリーなホテルがいくらでもあり、目移りしてしまう。選ぶ基準は3つ。ロケーション、一流のサービス、バスタブ付き。今回ご紹介する3軒はその条件+αがあるホテル。ぜひとも参考にしてほしい。

» 第1回 最高級の温かいサービス「The Mark」
» 第3回 世界初のバカラ ホテル「Baccarat Hotel & Residences」

◆ The Knickerbocker (ザ ニッカボッカ)

マンハッタンのオアシスでNYにいることを実感

コーナー・ジュニアスイート。どの部屋もマンハッタンのど真ん中のホテルとは思えない広さ。

 驚くべき場所にある。ブロードウェイと42丁目のコーナー、ずばりタイムズスクエアだ。ニューヨークを象徴するランドマークに指定されているホテルの外壁は、1906年に建ったときのままである。周辺の景観と一線を画しており、クラシックな佇まいに威厳を感じる。一歩中に入ると、そこはタイムズスクエアのオアシス。今年リニューアルオープンしたばかりのホテルは落ち着いたカラーで、静けさに包まれている。

 ニッカーボッカーとは、ニューヨークを開拓したオランダ移民のこと。それが次第に、彼らの子孫や、彼らが着用していた半ズボンを指すようになり、いまではニューヨーカーそのものを表すようになった。ちなみにニックスとはその略称である。

左:ドアマンはニッカーボッカーズ姿でお出迎え。
右:ホテル内はニュートラルな色調。レセプションもシンプル。

 ザ ニッカボッカは開業から15年でいったん幕を閉じたが、場所柄、往時は大きな社交イベントが行われるなどし、作家のフィッツジェラルドや作曲家のプッチー ニ、バレリーナのアンナ・パブロワなど、20世紀初頭の文化人、芸術家などが集まった。ザ ニッカボッカで生まれたカクテル、マティーニは当時のバーテンダーの名前だ。華やかな歴史は枚挙にいとまがない。

左:バーで伝説のマティーニを。
右:手前がニッカボッカ・マティーニ。

文=CREA Traveller編集部
撮影=橋本 篤
コーディネート=日比野靖代(fish*co.)