バカンスの本場、シチリアの宿泊バリエーション

 さて、そろそろ夏も本番。イタリアには、本格的なバカンスシーズンが到来しております。ここ、南イタリア・シチリアは、バカンスの本場。イタリアのみならず、世界各国からも観光客が押し寄せて、浮かれ気分も最高潮! 輝く太陽、カラリと晴れ渡ったシチリアンブルーの空の下、海に行くこと以外、何も考えられない素敵な夏! ってなもんで、1年で最も“何も話が進まない”季節でもあります。

ご近所にこんな青い海が広がっていれば、そりゃアナタ、仕事は手につきませんよ、ええ。

 なぜなら、「話の続きは、バカンスが終わったら」。6月下旬頃からそんな言葉を何度耳にすることでしょう。日本の感覚で仕事をしている人にとっては、非常に悩ましい季節でもあります。いろいろと物事が正常化するのは9月も終わる頃(正常って言っても日本のソレと比べたら、かなりアレですけれども)。

冬季休業のリゾートホテルも続々とオープン。

 おっと。つい愚痴ついでに前置きが長くなりましたが、そんなバカンスの本場シチリア島の滞在スタイル。夏はぐっとバリエーションが増えます。リゾートエリアや田舎の町にある宿泊施設もイースターから再開。夏は絶賛営業中というわけで選択肢が増えるわけです(そして11月から再び冬季休業に……)。

 イタリア人の夏の定番滞在スタイルは、「カーザ・バカンツァ」と呼ばれる夏季限定の貸別荘。海沿いの一軒家やアパルタメントを数週間単位でまるまるレンタルし、それこそ「暮らすように滞在」するスタイルは、1泊や2泊では済まない長期バカンスには最適です。

パンテレリア島の伝統的なダムーゾ建築。暑い南の島ならではの「暮らしの知恵」が随所にうかがえる。
厚い壁で太陽熱を遮った室内、クーラーなしでも涼しく過ごせます。

 シチリア島からさらに南下したパンテレリア島には、「ダムーゾ」と呼ばれる伝統的な庭付きヴィッラ、世界遺産のエオリア諸島には白壁のエオリア建築の家など、その土地ならではの物件もあります。

 そんな「カーザ・バカンツァ」では、個性的な滞在ができるのが魅力ですが、問題は借りにくさ。情報は口コミがメインで、個人所有の場合は、値段も言い値。ネット検索できる物件もありますが、情報があいまいだったり、信頼できる仲介者がいないと、なかなかハードルが高いと言えるかもしれません。

 また、滞在中は完全な自炊。異国の街で食材を買ってお料理♪ も楽しいですが、短い旅行ではただ面倒くさいだけ……になる可能性も。

左:エオリア諸島の伝統的な家屋。白壁が地中海の青空に映えて美しい景観を作ります。
右:典型的なエオリア諸島の家のテラス。シチリア製のマヨルカ焼きのタイルをあしらって。

 予約のしやすさから言えば、リゾートエリアに佇むホテルや街中のB&B。とはいえ、もうひと声! シチリアらしさを目指すなら、「バリオ」滞在がおススメです。

 「はて、バリオとはなんだろう?」と首をかしげたアナタは、次ページへ!

文・撮影=岩田デノーラ砂和子