英国のウィリアム王子夫妻もハネムーンに訪れた

ゲートを閉じて、貸し切りのピクニックもできるノース島のプライベート・ビーチ。島影はシルエット島。

 ヨーロッパでは古くから、ゴンドワナ伝説に通じる“地上最後の楽園”は憧れの的だった。セレブリティが隠れ家とする贅沢な秘境。高貴なリゾートのイメージは、英国のウィリアム王子とキャサリン妃がハネムーンをセイシェルで過ごして以来、高まるばかり。

フリゲート島のヴィラのプール・テラスから南半球の星空を見上げて。

 しかし、意外なことに、最後の楽園は最先端のリゾート地でもあった。このエリアでは、今、最も求められているエコ・ラグジュアリーなリゾートが次々と誕生。そのすべてが、環境保護に取り組み、島を蘇らせ、自然とともにある心豊かなライフスタイルを提案する。リゾートの自然再生プロジェクトに共感し、家族でセイシェルに通うセレブリティも少なくないという。

フリゲート・アイランド・プライベートのダイニング。色とりどりの小鳥がテーブルに。

 訪れる島では、エキゾティックなクレオール文化との出合いが待っている。18世紀以降、この国はフランスと英国に関わり、アフリカ、アジアとも交流。多民族が物事を分かち合う、多様で平和な世界を紡ぎ上げてきた。「セシルワ」と呼ばれる地元の人たちが伝える文化は刺激的だ。心身を躍動させる音楽、魂とルーツを呼び覚ますダンス。魚介にスパイスを効かせた伝統料理からは、インド洋の奥深さが香り立つ。

 ささやくように優しいクレオール語の響きに導かれながら、胸ときめかせ、見たことのない楽園を目指してみたい。

人生最高の旅

2014.09.24(水)
文=上保雅美
撮影=飯田裕子

CREA 2014年10月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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