今回の作品が「キャリアの役」の最後かもしれない

――年齢を重ねて、振られる役は変わってきましたか。

吉田 変わりました。それこそ今回のようなキャリアの役というのは、年齢的にリミットがあると私は思っていて。もうなんなら、今回のこの『会社員』という作品がキャリアの役の最後かもしれないな、という思いで今は実はやっているんです。年を重ねると、母役であったり、祖母役であったりが増えてくるんですよね。見方を変えれば、そういう役ができるようになってきたという言い方もできますけれども、逆に、シングルで会社の中で戦うキャリアウーマンが似合わなくなってきたということでもあって。

――ご自身で線を引いているところもありますか。

吉田 ありますね。自分がやりたいと声を上げたところで、それを振ってくださる方がいらっしゃらないと叶わないので。私自身も、どこかで無意識に線引きをしているところがあって。年齢的にもビジュアル的にも、こうなってきたらもうこの役はやれない、と。悲しいかな。この先もしチャンスがあるとしたら、本当にキャリアの役に関してはカウントダウンに入っているなと思います。

――英理子は、前向きに諦めることを重ねていく人物でもあります。吉田さんご自身が、前向きに諦めてきたことはありますか。

吉田 学生時代にお芝居をスタートしたんですけれども、当時、結婚かお芝居かの二択を迫られたことがあり、その時に私はお芝居を選んだんですよね。もちろんそちらを選び取ったことで得られた出会いですとか、お仕事、役柄、喜びもたくさんあるので、結果これで良かったとは思っているんですけれど。でも一方で時々ふっと、じゃあ、あの時結婚していたらどんな人生だったのかなと思い返すことがあって。あの時に私はベストな選択をしたと思っているし、前向きな気持ちでお芝居を選び取ったので、前向きに結婚を諦めたとも思っています。

――選ばなかった方の人生を、少しだけ体験できるとしたら。

吉田 役でたくさん経験してきたので、もういいかもしれない。役を通して知らない自分に出会うという側面もありますし、役に教えられる、新しい考え方を教えられるということもありますから。

――作中では、同じ出来事をめぐって英理子と夫の受け止め方がずれる場面もあります。身近な人との価値観のズレに、吉田さんはどう向き合っていますか。

吉田 自分の価値観と違っていたとしても「そういう価値観もあるよね」と互いにリスペクトできる時代になってきたなとは思いますし、私自身も、それぞれに考え方があって、それでいいんだという風に考えられるようにはなってきました。やっぱり人それぞれに事情があるし、人に見せているものって、その人のほんの一角に過ぎないから、それだけで全体を判断してしまうのは危険だなというのは思います。

――最後に、放送を楽しみにしている方へ。

吉田 自分は何のために誰のために働くのか。存在意義を会社軸に預けて来た主人公英理子の生き方は、“尽くす”ことを“美徳”とする日本人に少なからず共感していただけるのではないかと思っています。そしてオフィス・サスペンスの中にもしっかりと感情の機微が描かれた今作は、ドラマ好きの方にも楽しんでいただけると思っています。ワクワク、ハラハラを楽しみに、毎週見ていただけたらと思います。

吉田羊(よしだ・よう)

2月3日生まれ、福岡県出身。1997年より舞台を中心に活動をスタート。2012年に連続テレビ小説『純と愛』(NHK)、2014年に『HERO』(フジテレビ)に出演し脚光を浴びる。以降、舞台、ドラマ、映画と多方面で活躍。今年の作品に映画『白鳥とコウモリ』『さとこはいつも』『わたしの知らない子どもたち』など。Netflix『俺のこと、なんか言ってた?』は10月22日より配信予定。

ドラマ10『会社員』

放送予定: 2026年10月13日スタート 毎週(火)夜 10:00~10:45(全8回)
(再放送) 10 月 16 日~ 毎週(金)午前0:35~1:20(木曜深夜)
NHK ONE で同時・見逃し配信予定
作:名嘉友美、松井周、あさか友恵、縦谷宗(WDR プロジェクト)
音楽:yuma yamaguchi
出演:吉田羊、南沙良、加藤清史郎、小久保寿人、前川泰之、田中直樹、尾美としのり ほか
制作統括:上田明子、石村将太
演出:保坂慶太、大嶋慧介、西尾友希

衣装クレジット

衣装 ヌメロ ヴェントゥーノ(IZA)、ジュエリー Hirotaka(Hirotaka 表参道ヒルズ)

IZA
フリーダイヤル 0120-135-015

Hirotaka 表参道ヒルズ
電話番号 03-3478-1830

最初から記事を読む 「この上司、腹立つ!」「めっちゃ面白い」話題のドラマ『...