19世紀から続く英国のチャリティ・ショップ
英国では、チャリティ・ショップと呼ばれるリサイクルショップが、いたるところにあります。各チャリティ団体が、一般の人から募った物品を販売し、その売上金は義援金として使われる、というシステムです。「もう着ない、でもまだ着られる」という洋服をはじめ、「捨てるにはちょっと惜しいもの」は、どんどん近所のチャリティ・ショップに持って行く、というのは、英国の常識の一部といっても過言ではありません。物品の提供者にとっては家にある不要品のひとつの処分の方法として、購入者側にとっては中古品を安く買える場所として、そしてチャリティ団体にとってはボランティアが物品を売ってくれることで寄付金になるという、チャリティ・ショップはまさに「ウィンウィンウィン」のシステム。週末の間に大掃除をするのか、月曜日の朝にはチャリティ・ショップのドアの前に物品の入った大きな袋がてんこ盛りになっている風景も多々見られます。
右:「Oxfam Books」のウィンドウは、まさに普通の本屋さんのよう。
チャリティ・ショップが英国に最初に登場したのは19世紀。救世軍が都会の貧困層に向けて、廉価のセカンドハンドの洋服を販売したのが始まりだそうです。第二次大戦中には軍資金と義援金を集めるために、さまざまなチャリティ団体が同様の活動をしましたが、現在のスタイルのチャリティ・ショップは、1948年に貧困と不正の根絶をうたうOxfamがショップを構えたことに始まります。ショップを構えるチャリティ団体、さらにその支店数は年々増え続け、現在では英国内に1万を超すチャリティ・ショップがあるそうです。
洋服、本、キッチンウェア、インテリア小物、電化製品など、ありとあらゆるものが、店内に並んでいるというのが一般的ですが、本だけを扱うチャリティ・ショップ、家具や電化製品だけを扱うチャリティ・ショップなど専門店もあります。
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文・撮影=安田和代(KRess Europe)