もはや英国人の日常の一部
1万軒を超えるチャリティ・ショップとは

チャリティ・ショップ「TRAID」のユニークな試み

TRAIDダルストン店の外観。賑やかな商店街に位置している。

 さて、そんな数あるチャリティ・ショップのなかでも、ちょっとユニークな存在が「TRAID」。「洋服を捨てない」をテーマに、ゴミを減らすことによる環境問題の改善や、ひいてはテキスタイル業界で働く人々の労働環境を向上させる、という目的を掲げて活動を展開しています。

左：TRAIDダルストン店。洋服のレールがアウトレット・ショップや倉庫のように数多く並んでいる。
右：通常のチャリティ・ショップのように本やCD、雑貨類も、店の奥の一部にある。

 国内1500カ所以上に設置された、クローズバンク(大型のダストボックスのような、洋服を入れる寄付箱)に寄せられるものをはじめ、年間3000トンもの洋服が集められ、販売されます。とそこだけ聞くと、「ほかのチャリティ・ショップとどう違うの？」と思われるかもしれませんが、ショップに足を運ぶと一目瞭然。整理された洋服が、まるでアウトレット・ショップのように、ずらーっと並んでいます。しかも、通常のチャリティ・ショップにはない試着室まで3室も(TRAIDダルストン店の場合)用意されているのです。

チャリティ・ショップにしては珍しく、店内には試着室もある。

ファスナーや毛糸など、洋服のリメイクを意識させる商品も。

 もちろん、ほかのチャリティ・ショップと同様、そのまま中古品として売られる洋服もありますが、ものによっては寄付された傷物の布地を用いて、自社ワークショップで新たに洋服を制作、「TRAIDremade」というレーベル販売がされているものも。「TRAIDremade」の洋服は、チャリティ・ショップでありながら、平均点な新品の洋服と同じくらいの値段がついています。

左右ともに、TRAIDremadeのワンピース(65ポンド)。

左：隠しボタンになっているTRAIDremdeの紳士用シャツ(55ポンド)。
右：TRAIDremadeの赤いジーンズは、55ポンドから値下がりして35ポンドでご奉仕中でした。

 TRAIDのショップは、現在ロンドンに11カ所、「TRAIDremade」のレーベルを扱っているのは、ダルストンとカムデンのみ。大量生産の洋服にはない、ひとつひとつ微妙に柄の違う、一点もののよさを体験できるチャリティ・ショップです。

文・撮影＝安田和代(KRess Europe)