翻って、現在流行っているテイストは、あの頃に比べるとライトなレイヤーです。レイヤーと謳いつつ、上段の毛先はレイヤーを入れることで動きを出していますが、下段の毛先はレイヤーを入れずに重めのまま、というスタイルが主流なのです。

 最近のトレンドとして特に目立つのが、顔回りだけにレイヤーを入れる「顔回りレイヤー」です。前髪と同様、顔回りの髪の毛は印象を大きく左右するので、顔回りの髪の毛にレイヤーでアクセントを加えることで印象を劇的に変えることができます。また、顔回りにレイヤーを入れると、短めの毛先が顔の輪郭や頬にかかり、小顔効果も狙いやすくなります。

 顔回りレイヤーを入れると、若い世代に人気の、顔回りにパッツンとカットされた存在感のある毛束がかかる「姫カット」に見えてしまうのではないかという懸念もあるかと思います。しかし、顔回りのレイヤーは毛束が細ければ束感が自然に見えるため、個性が強くなりすぎず、多くの方に取り入れやすいスタイルなのです。

こんな人には、「レイヤー」は難しい

 レイヤーのスタイルは特徴的であるが故、メリットとデメリットがはっきりしています。例えば、こんな悩みを持っている方々は、安易に取り入れると大変な思いをするかもしれません。

▼レイヤーは伸ばす時に支障が出る?

 顔回りにレイヤーを入れる場合、レイヤーを入れることで顔回りの髪が短くなるので、伸ばすのに時間がかかります。特に「次は重ためのヘアスタイルにしたい」と考えた場合、次のヘアスタイルに移行するまで時間がかかることを考慮しましょう。

▼パサパサが気になる方

 また、すでに毛先のパサパサが気になっている方がレイヤーを取り入れる際には、注意が必要です。なぜならレイヤーカット後の毛先は、良くも悪くも目立ちやすいからです。

 厚みがない毛先は、パサパサして見えやすいという特徴があります。これは、「実際のダメージ度合い」とは関係ありません。

 重なった髪の毛は「面」として光を反射しやすく、艶っぽく見えるため、毛先に厚みがあると傷んで見えにくいのです。ボブスタイルが艶っぽく見えるのはこのためです。

 逆に、レイヤーカット後の毛先は薄くなるので、艶っぽく見えにくいです。上手にスタイリングしないとパサパサした印象になりやすいので、慣れないうちは美容師さんにスタイリングのアドバイスをもらうようにしましょう。

膨らむ髪質に悩んでいる方

 膨らみやすい髪質に悩んでいる方も、取り入れるには工夫が必要になります。先述したシャギーのように、毛先をむやみに軽くすると髪が膨らみやすくなるからです。

 膨らむ原因は「髪にウェーブがある」「毛量が多い」といった髪質によるものです。近年はトリートメントやストレートパーマなど薬剤の進化が著しいので、これらを使うことで膨らみやすい髪質に対応することができるケースも多々あります。膨らみやすい髪質の方がレイヤーを取り入れる場合は、美容師さんと相談しながら、メニューを組み合わせてトライすることをオススメします。

▼顔に髪が触れるのが苦手な方

 特に顔回りレイヤーの場合、毛先が顔に触れるのが苦手な方や肌が敏感な方は、控えた方がいいかもしれません。

 顔回りレイヤーは、顔に毛先が向くことで雰囲気がアップします。簡単に可愛くなれる反面、「邪魔でしょうがない」というのが最大のデメリットです。

 これらの毛束を耳にかけてしまうと、せっかく顔回りにレイヤーを入れた意味がなくなってしまいます。我慢が必要になるので、毛先を顔に触れさせたくない方にはおすすめしません。

2023.12.02(土)
文・イラスト=操作イトウ