「おバカ」キャラの裏にあった、衝撃の真相

 しかし、女性の社会進出や権利意識の向上が加速した2010年代にもなると「おバカ」キャラは「時代遅れ」とみなされるようになった。注目度が減ったパリスは、イベントを盛り上げる高給DJとして活路を見出すこととなる。

「私はおバカなブロンドじゃない。それを演じるのがうまいだけ」  (2023年の発言)

 そこからさらに10年、2020年代の今、パリス・ヒルトンはまたもやときの人となった。「おバカキャラ」は演技だったとして、衝撃の真相を明かしたのだ。

 近年公開された本人に関するドキュメンタリーや自叙伝によると、幼少期のパリス・ヒルトンは、ピンクが好きですらないヤンチャな子どもだったという。しかし、15歳のとき、教師と見ず知らずの成人男性それぞれから性的虐待を受けた 。これらのことは、被害を認識しきれていなかった幼い彼女に深いトラウマを残した。

 ふさぎこむようになった彼女は、学校をサボってナイトクラブ通いをはじめた。その結果、心配した両親によって合計4つもの更施設に入所させられることになる。それらの施設では、婦人科の診察と称して職員が子どもの局部に手を入れたり、無理やりドラッグを飲ませたりするなどの虐待が常態化していたという。

 パリスの「おバカなブロンド」キャラが生まれたのはこのときだ。閉じこめられた独房で、気が狂いそうになるなか、現実逃避のために創りあげたのが「完璧な人生を送るブロンド」の空想だったのだ。同時に、彼女は決意した。「とにかく働いて成功して、親からも、ここの職員からも、男からも、絶対に指図されない存在になる」 。

 18歳になってようやく施設から解放されると、パリスは夜の街にくりだして知名度を獲得していった。テレビ番組で「おバカなブロンド」キャラを完成させた頃には、施設に入る前はどんな人間だったかすら思い出せなくなっていた。

2023.09.24(日)
文=辰巳JUNK